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教員名 : 鳩野 敦生
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授業コード
520306
オムニバス
科目名
熱統計力学
科目名(英語)
Thermal Statistical Mechanics
配当学年
2年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
月曜3限
対象学科
基_応用,基_環生
コース
科目区分
専門科目
必選の別
選択科目
担当者
鳩野 敦生
教室
3-225
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
化学反応について、原子、分子レベルの微視的な現象が巨視的には、どのよう観測されるかを説明できるようにする。分子が熱運動を行っていることをベースに、ミクロな視点による粒子の数の増減を、マクロな視点によるエネルギの増減で計測および制御を行うことを説明する。最後に、化学平衡と反応速度を微視的かつ巨視的な双方のレベルで扱う。受講者には、講義資料を配布し、達成度の確認は、次回の授業の開始時に行うミニテストにより行う。ミニテストの解答は、次回の講義で、解説を行う。
達成目標1
化学における統計力学と熱力学の役割分担とその位置づけを把握できること。【20%】
達成目標2
化学反応や状態変化を、原子、分子レベルの微視的な統計力学に基づいて説明できること。【30%】
達成目標3
化学反応や状態変化を、巨視的な熱力学的ポテンシャルに基づいて説明できること。【30%】
達成目標4
化学平衡と反応速度について、微視的かつ巨視的にいたるまで統合的に取り扱えること【20%】
達成目標5
達成目標6
達成目標7
アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
1. 統計力学と熱力学の役割分担
/本講義の目的/ミクロとマクロの視点/熱とエネルギの等価性/内部エネルギ/エネルギ等分配の法則と比熱 /ミクロの観点からみた熱力学の第1法則/微分系の使い方(復習)/経路積分と定積変化&定圧変化/ 教科書①の23章1節を読んでおく(1時間)
講義後は、熱力学量とその変化について復習しておくこと。(1時間) 第2回
2. 熱力学の第1法則と実在の気体
/標準生成エンタルピと熱化学/理想気体の重要性/圧縮因子とビリアル係数/ファンデルワース方程式 教科書①の2章の8節と9節を読む(1時間)
講義後は、理想気体と実在気体について復習しておくこと。(1時間) 第3回
3. 熱力学的ポテンシャル
/自発過程とエントロピー/熱力学ポテンシャと自発変化/ヘルムホルツの自由エネルギ/ギブスの自由エネルギ/自由エネルギの物理的意味/微分系の使い方(復習)/熱力学の基本式/拡散への応用/maxwellの関係式 教科書①の6章の1節〜4節,および,教科書②の6章と8章を読んでおく(1時間)
講義後は、熱力学ポテンシャルの定義と用途ついて復習しておくこと。(1時間) 第4回
4. ボルツマン分布
/指数関数と対数関数(数学の復習)/確率の基礎と確率分布関数(数学の復習)/正規分布とランダムな運動 /ボルツマン分布の導出/ 教科書①の3章の4節,および,23章の2節を読んでおく(1時間)
講義後は、ボルツマン分布について復習しておくこと。(1時間) 第5回
5. 分配関数
/ボルツマン分布(復習)/量子力学における不確定性原理とエネルギ準位/分配関数の必要性/振動と回転 /分配関数と熱力学量の関係/分子運動の内部自由度/比熱による検証/ 教科書①の23章の3節〜5節を読んでおく(1時間)
講義後は、微視的な分配関数と巨視的なエントロピーの関係について復習しておくこと。(1時間) 第6回
6. エントロピーとボルツマンの原理
/ミクロの観点からみた熱力学第2法則/ミクロの観点による理想気体のエントロピー/エントロピーによるボルツマン分布の導出/エントロピー増大の法則/ 教科書①の5章の2節と3節を読んでおく(1時間)
講義後は、エントロピー増大の法則と熱力学の第2法則について復習しておくこと。(1時間) 第7回
7. 学習進度確認テスト1
予習: 第1回〜第6回の講義内容について復習する。(5時間)
復習: 中間試験において分からなかった問題を重点にテキスト・資料を読み返す。(3時間) 第8回
8. 化学ポテンシャル
/化学ポテンシャルが必要となる状況 /粒子源とグランドカノニカル分布 /熱力学的ポテンシャルの拡張 /化学ポテンシャルの計測と同定 /理想気体の化学ポテンシャル/ 教科書①の5章の5節および教科書②の8章を読んでおく(1時間)
講義後は、グランドカノニカル分布と粒子源の関係について復習しておくこと。(1時間) 第9回
9. 化学ポテンシャルと相平衡
/純物質の相平衡における化学ポテンシャル /相平衡での化学ポテンシャルとボルツマン分布の関係 /相平衡での化学ポテンシャルの確率上の意味 /クライペロンの公式/クラウジウスの公式 /ギブスの相律 教科書①の6章の5節,教科書②の10章を読んでおく(1時間)(1時間)
講義後は、相平衡に達するメカニズムと化学ポテンシャルの関係について復習しておくこと(1時間) 第10回
10. 化学ポテンシャルと理想溶液
/濃度の表現/モル分率/溶液の化学ポテンシャル /溶液の蒸気圧の関係/束一的性質(沸点上昇と凝固点降下) /非理想溶液 教科書①の7章の1節と2節と教科書②の11章を読んでおく(1時間)
講義後は、化学ポテンシャルと沸点上昇&凝固点降下について復習しておくこと(1時間) 第11回
11.化学ポテンシャルと化学平衡
/化学平衡と標準自由エネルギ変化/ルャルトリエの原理と反応因子/平衡定数と標準生成ギブスエネルギ /ファントホップ公式/ 教科書①の23章の6節,教科書②の9章を読んでおく(1時間)(1時間)
講義後は、化学平衡に達するメカニズムと化学ポテンシャルの関係について復習しておくこと(1時間 第12回
12.反応速度
/化学平衡と反応速度論の関係/超単純衝突論/化学反応の速度と反応次数/温度の影響と加速度試験 教科書①の12章の1節〜5節を読んでおく(1時間)(1時間)
講義後は、反応速度の定式化と衝突メカニズムについて復習しておくこと(1時間) 第13回
13. 学習進度確認テスト2
予習: 第1回〜第12回の講義内容について復習する。(5時間)
復習: 試験において分からなかった問題を重点にテキスト・資料を読み返す。(3時間) 第14回
14. Li-ion電池と総括
/電気化学ポテンシャルへの拡張/一次電池と二次電池の相違/ネルンストの式 /pH計測の原理/ 教科書①の10章の3節〜5節と教科書②の12章を読んでおく(1時間)
講義後は、ネルンスト式に基づいて電池のメカニズムについて復讐しておくこと(1時間) 課題等に対するフィードバック
毎回行うミニテストについては補足説明などを行 います。
期末試験の問題については配布資料にて復習すること。 評価方法と基準
学習進度確認テスト2回(5%+5%)ミニテスト12回(30%)期末試験(60%)から総合的に判断して60点以上を合格とする。
テキスト
①,Raymond Chang (著), 岩沢 康裕 (訳) 『化学・生命科学系のための物理化学』
【ISBN978-4-807-905638】 ②,油井宏治著『見える!使える!化学熱力学入門』 (株)オーム社(2013年) 【ISBN978-4-274-20390 8C3058 参考図書
高塚和夫,田中秀樹 著『分子熱統計力学:化学平衡から反応速度まで』 東京大学出版会
【ISBN 978-4-13-062509-8】 科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
1年次の物理化学では熱現象の基礎となる気体分子運動論を学んだ。本講義では、化学反応や状態変化について、原子、分子レベルの微視的な現象が巨視的には、どのよう観測されるかを説明か可能とするために、ミクロな視点から統計力学、マクロな視点から熱力学を学ぶ。この2つの見方は、社会に出て、新型の2次電池や燃料電池の研究開発の現場で働くときに、化学反応について、適切な研究指針や効率的な研究計画を考えるのに役立つものである。
履修登録前の準備
1年次の物理化学における気体分子運動論。基礎的な数学(特に微積分)。反応工学
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