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教員名 : 加藤 史仁
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授業コード
510055
オムニバス
科目名
機械材料1
科目名(英語)
Materials of Mechanical Engineering 1
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
木曜2限
対象学科
基_機械
コース
科目区分
専門科目
必選の別
選択科目
担当者
加藤 史仁
教室
3-325
実務家教員担当授業
担当教員(加藤)は、企業において、Micro Electro Mechanical Systems (MEMS)の設計・試作・評価を通じて、様々なデバイスを開発した経験がある。こうした経験や知識を活用し、現実の課題と授業の内容との関連性を具体的に示しつつ講義を進める。
授業の目的と進め方
工業製品の製造では、強度の信頼性を確保し、必要な機能を付与することができる最良の材料選択を行う必要がある。このためには各種材料における原子の結合様式や結晶構造ならびに、主要な材料である鉄鋼材料に関する熱処理の基本までを修得しておく必要がある。この授業では金属結合と機械的性質の関係、転位と強度の関係および合金の凝固過程を理解して簡単に説明できるようにすることを目的としている。授業に用いるパワーポイントを事前に日工大サポータルにアップロードするので、事前に読んで予習すること。
達成目標1
金属結合の結合方式と機械的性質の関係を説明できる。【20%】
達成目標2
引張り試験により得られる応力-ひずみ線図を理解して関係する用語の意味を説明できる。【10%】
達成目標3
ミラー指数を用いて結晶面を指定できる。【15%】
達成目標4
合金の凝固過程で生じる現象を説明し、状態図における温度変化に伴う現象を説明できる。【25%】
達成目標5
炭素鋼の状態図における基本的な組織の名称、温度変化に伴う結晶構造の変化を説明できる。【30%】
達成目標6
達成目標7
アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
授業の進め方、機械工学における材料の重要性
予習:テキストの「本シリーズの使い方」を読むと共に、全体を俯瞰してどのような事が書かれているのかを把握しておく(2時間)。
第2回
物質の構造、原子の構造からイオン結合、共有結合
予習 : Teamsに掲載した資料にはテキストには述べられていない補足が多数ある。原子の構造について読んでおくこと(1時間)。原子の結合メカニズムについて次回の授業までに復習して理解しておく(2時間)。
第3回
金属結合、mol数と体積、分子量の関係
予習 : 気体の標準状態やmol数について調べておく(1時間)。ガスの分子量と重量や体積の関係についての簡単な計算問題を宿題とするので必ず取り組むこと。
第4回
金属結合と機械的性質の関係
予習 : テキストのP14〜16までを事前に理解しておくこと(1時間)。引張り試験は秋学期の機械工学実験で全員が体験することになる。ここでは、応力と歪みの概念を確実に理解しておく(2時間)。
第5回
結晶構造とミラー指数を用いた結晶面の表示
予習 : 身の回りにある鉱物の結晶についてインターネット等で調べてみよう(1時間)。ミラー指数の表記方法は理解しておく(2時間)。
第6回
格子欠陥と強化機構(せん断変形のメカニズム)
予習 : テキストのP23〜26までを事前に読んで、せん断変形の概要を理解しておく(1時間)。物質の破壊様がせん断による結晶の滑りであることを理解する(2時間)
第7回
格子欠陥と強化機構(加工硬化、析出硬化)
予習 : テキストP26〜28までを事前に予習して、材料強化の概念を理解しておく(1時間)。結晶格子がひずむことで変形しずらくなる基本原理と、格子にひずみを与える要因を理解する(2時間)。
第8回
平衡状態図(純金属の凝固)
予習 : テキストP29〜30を事前に読んで講義の概要を理解しておく(1時間)。水が氷になる現象を習った用語を使って論理的に説明出来るような訓練をする(2時間)。
第9回
平衡状態図(合金の凝固、全率固溶型状態図の見方)
予習 : テキストP31〜34を事前に読んで講義の概要を理解しておく(1時間)。お湯に砂糖を溶かして冷却していく過程を習った用語を使って説明できる(2時間)。
第10回
平衡状態図(共晶型状態図の見方)
予習 : テキストP34〜35を事前に読んで講義の概要を理解しておく(1時間)。状態図から各温度における固相、液相の濃度を読み取れるようにしておく(2時間)。
第11回
鉄-炭素系状態図(鉄の変態点)
予習 : テキストP38〜40を読んで講義の内容を把握しておく(1時間)。鋼の状態図における各組織の名称と結晶構造は基本なので覚えておく。一部の課題は宿題とするので、必ず取り組むこと(2時間)。
第12回
鉄-炭素系状態図(共析反応、鋼の組織名称)
予習 : テキストP40〜42 を読んで鋼の変態について予備知識を得ておく(1時間)。共析反応における炭素量と得られる組織の関係を理解する(2時間)。
第13回
鋼の組織と機械的特性の関係
予習 : 鋼の平行状態図全般を読み返して個別の知識でなく、共析反応の範囲でどのような事が起こっているのか理解しておく(1時間)。平衡状態図を用いて、炭素量と得られる組織の名称と比率が決定されること。得られた組織の比率により機械的性質が定まることを理解する(2時間)。
第14回
鉄鋼精錬・総合復習(重要事項の整理と再確認)
予習 : 鉄鋼材料の製造方法について、テキストP45〜54を読んで講義の概要を理解しておく(1時間)。総まとめとして、鉄鋼材料の組織と機械的性質の関係を把握しておく(3時間以上)。
課題等に対するフィードバック
毎授業終了時に復習を兼ねた宿題(課題)を課す。解答は、次回の授業において解説する。授業内容や課題に関する質問は、担当教員居室(E1-2-318室)にて随時受け付ける。
評価方法と基準
毎回実施する課題の配点が40点、期末試験の配点が60点とし、合計60点以上を合格とする。
テキスト
黒田大介編著『機械・金属材料学』実教出版 (2015)
【ISBN:978-4-407-33725-9】 参考図書
新日鉄住金株式会社著『鉄と鉄鋼が分かる本』日本実業出版社 (2004)
【ISBN:4-534-03835-6】 科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
科学としての原子の構造と結合や、溶融・凝固過程が実用的な金属材料の強度にどのように関連しているのかを解説する。すなわち、サイエンスとエンジニアリングの懸け橋となる科目である。機械系エンジニアとしてサイエンスの観点からの教養科目として位置づけている。
履修登録前の準備
1年春学期の科目であるので、前提となる知識は特に要求しない。
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