シラバス情報

授業コード
510362
オムニバス
科目名
日本建築史
科目名(英語)
History of Japanese Architecture
配当学年
3年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
水曜1限
対象学科
建_建築_Aコース,建_建築_Lコース
コース
科目区分
専門科目
必選の別
選択科目
担当者
野口 憲治
教室
2-375
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
日本の歴史を学び、日本建築の意匠や技術について理解を深めることで、継承すべきものやあるべき環境について総合的な判断や考察ができるようになる。加えて、今後の建築に何が求められているかについて本質的な視点で考え、建築設計等に役立てることができるようになる。そうした素養を身につけるために、日本建築の歴史を、社会的背景、設計技術などを踏まえて体系的に理解する。
達成目標1
・各時代の建築様式の特徴を理解し、古建築を見ておおよその年代が判定できる。(60%)
達成目標2
・日本建築を地域性や周辺国との関係を踏まえて理解し、その独自性を評価できる。(10%)
達成目標3
・先人の優れた技術や蓄積された文化の貴さを理解し、日本建築や日本文化の魅力を自らの言葉で説明できる。(10%)
達成目標4
・日本建築の施工技術に理解を深め、現場の技術者を尊敬し、教えを請う姿勢をとれる。(10%) 
達成目標5
・先人が建築にかけた情熱を理解し、自らの糧とすることができる。(10%)
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
日本建築史を学ぶ意義、日本建築の特質:
建築材料、自然環境、災害、奥の概念
東京国立博物館あるいは国立歴史民俗博物館を見学し、日本の歴史・文化を通史的に理解しておく。また、文化遺産オンラインで出身地の文化財(建造物)を調べる。(2時間)
第2回
縄文時代と弥生時代の住居・集落:
古墳、家屋文鏡、家形埴輪、竪穴式住居、高床式倉庫、掘立柱建物、吉野ヶ里遺跡

家屋文鏡に示された4タイプの建物を描き写し、それぞれの用途を分析する。(1時間) 
第3回
古代国家の形成と建築、神社建築の成立:
伊勢神宮と式年造替、出雲大社と巨大建築、住吉大社と大嘗宮正殿、令和の大嘗宮

地元の神社建築を見学し、建築様式の特徴を理解しておく。(1時間)
第4回
仏教伝来と初期の寺院建築:
寺院建築の新しさ、法隆寺西院伽藍、飛鳥寺と四天王寺
『東洋建築史図集』などの該当部分をもとに、大陸各地の仏教建築について理解を深める。(1時間)
第5回
法隆寺再建非再建論争と日本建築史学:
日本建築史の方法論、文化財制度の始まり、年輪年代学
伊東忠太、関野貞の経歴や建築作品について調べる。また、喜田貞吉、三浦周行、石田茂作の法隆寺に関する論考を調べる。(各1時間)
第6回
白鳳・天平の寺院建築と都城:
薬師寺東塔、唐招提寺金堂、東大寺、平城京、平安京、間面記法

古代の国名について、その読み、漢字表記、位置(現在の都道府県名)を確認しておく。(2時間)
第7回
密教建築の成立、神社建築の発達:
山上伽藍、多宝塔、礼堂の付加、春日造と流造

最澄・空海が中国(唐)で何を学んだか、真言宗と天台宗の違いについて調べる。(各1時間)
第8回
浄土教の建築、建築の日本化:
平等院鳳凰堂、中尊寺金色堂、野小屋と桔木
浄土教、阿弥陀信仰、浄土庭園について調べる。(1時間)
第9回
南都再建と大仏様の建築:
俊乗坊重源、東大寺南大門、浄土寺浄土堂
貫による構造について調べる。室町時代以降の大仏様建築について調べる。(2時間) 
第10回
禅宗様の建築:
鎌倉と京都の五山、円覚寺舎利殿、不動院金堂
正福寺地蔵堂(東村山市)など禅宗様の建築を見学する。鎌倉五山・京五山について調べる。(各1時間)
第11回
和様・折衷様の建築、本堂の成立、技術等の進展:
長寿寺と西明寺、鶴林寺、内陣と外陣、六枝掛と設計術

礼堂(外陣)の成立過程について断面図を描いて理解する。(1.5時間)
第12回
近世城郭と城下町の形成:
寺内町、平山城と天守閣、縦町と横町

江戸東京博物館を見学し、江戸城と大名屋敷の具体像を理解する。(2時間) 
第13回
近世の社寺建築:
権現造りと日光東照宮、社寺の名所化、大工技術の組織化
歓喜院聖天堂(熊谷市妻沼)など複数の近世社寺建築を見学し、意匠の特質と彫刻について比較する。(2時間)
第14回
継承すべきこと:
振り返り、歴史的建築と町並み、町家、民家
真壁・栃木・足利・佐原・川越などの歴史的な町並みを歩き、保存の優れた点、問題点を指摘する。(2時間)


課題等に対するフィードバック
提出した課題等は、授業内で返却し解説を行うので、必ず復習すること。
評価方法と基準
レポート課題(30%)+ 期末試験(70%) で評価し、60点以上を合格とする。
テキスト
太田博太郎、藤井恵介ほか『増補新装 カラー版 日本建築様式史』美術出版社【ISBN4568400791】
必要に応じてプリントを配付する。
参考図書
海野聡『日本建築史講義 木造建築がひもとく技術と社会』【ISBN4761528168】
西和夫・穂積和夫『日本建築のかたち』彰国社【ISBN4395270220】
日本建築学会『日本建築史図集』新訂第三版、彰国社【ISBN4395008518】
日本建築学会『東洋建築史図集』彰国社【ISBN4395000878】
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
建築史系4科目の内、日本の伝統建築を対象とした科目で、原始の住宅と集落、古代〜近世の宗教建築、公的建築、都市について学ぶ。古代・近現代の住宅については住宅史で対応する。建築は、常に生活や文化に根ざして変化する。こうした歴史的な形成過程を踏まえることで、その延長上にある現代の建築について深く理解する基礎を築く。また、自国の建築文化への理解を通して、先人の営為に対する敬意や職業への誇りを育む。
履修登録前の準備
高等学校で日本史を履修していない学生が多いと思われる。その不足を、授業で補うように努めるが、概要を学んでおくと理解が深まる。また、春休み中に、地元の古建築や歴史的な町並みを見る旅に出てほしい。