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教員名 : 安野 彰
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授業コード
520313
オムニバス
科目名
住宅史
科目名(英語)
History of Japanese Houses
配当学年
3年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
水曜1限
対象学科
建_建築_Aコース,建_建築_Lコース
コース
科目区分
専門科目
必選の別
選択科目
担当者
安野 彰
教室
2-375
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
日本の住まいがいかに環境や状況に配慮してきたか、歴史を通して学ぶことで、日本の生活文化について空間との関係を踏まえて総合的に考察できるようになる。そして、今後のあるべき住まいについて本質的な視点から考え、住宅設計等に役立てられるようになる。そうした素養を身につけるため、原始・古代から近現代の日本における住宅の歴史を、文化や風習、社会や空間構造の変化、暮らし方などと関係づけながら体系的に理解する。
達成目標1
・各時代の暮らしや文化と住宅の形式の関係性を説明できる。【60%】
達成目標2
・社会情勢や家族構造の歴史的な変化が住宅に与えた影響を理解し、住宅とは何かを多様な視点から考えられる。【10%】
達成目標3
・過去の文化や生活を再評価し、住宅や暮らし方、住環境の多様な可能性について考察できる。【10%】
達成目標4
・現代の住宅や住宅政策の問題点について歴史的な観点を踏まえて考察できる。【10%】
達成目標5
・日本の風土や社会と住宅との関係を理解し、現代の住宅設計に役立てられる。【10%】
達成目標6
達成目標7
アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
○
その他課題解決型学習
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
古墳時代までの集落と住まい:
竪穴式と高床式、考古学の成果と住宅の復原 稲作の普及による社会の変化について理解しておく。(1時間)
第2回
都城と邸宅:
室と堂、伝法堂前身建物、平城京と平安京、母屋と庇 伝法堂前身建物、大嘗宮正殿の比較を行う。(1時間)
第3回
寝殿造の成立:
一室空間の使い方、塗籠と就寝空間、『源氏物語絵巻』 『源氏物語絵巻』の建築的場面を抽出。国立歴史民俗博物館で東三条殿、寝殿造の室内について学ぶ。(各1時間)
第4回
中世の住宅:
寝殿造から書院造へ、丸柱と角柱、座敷飾り、東求堂 絵画史料に描かれた座敷飾を抽出して編年する。天井の機能を床や壁との違いから分析する。(各1時間)
第5回
書院造の成立:
座敷飾りの格式表現、室内化、表と奥、二条城二の丸御殿 戦前までに建築された和風住宅とその座敷を見学する。(2時間)
第6回
数寄の意匠:
草庵風茶室、妙喜庵待庵、数寄屋風書院、桂離宮 茶道の誕生と発展について調べる。数寄屋風書院の伝統が現代の和室のどこに生きているか観察する。(各1時間)
第7回
町家の起源と発達:
中世の町家、京町屋と江戸町家、裏長屋 川越や栃木などに遺されている町家について調べて見学する。(各1時間)
第8回
江戸の街と暮らし:
武家地と町人地、上水道、治安と防火、遊興の場 江戸東京博物館「両国橋西詰復原模型」又は国立歴史民俗博物館「江戸橋広小路復原模型」を見学する。(1時間)
第9回
農家:
構造と特徴、平面形とその変化、地域的な特色 川崎の民家園、江戸東京たてもの園ほかで保存されている実物の民家を見学する。(1時間)
第10回
外国人居留地と上流の洋風邸宅:
ベランダコロニアル式、和洋館並立型、和風住宅の近代化 池之端に保存されている岩崎家茅町邸について調べて見学する。 (各1時間)
第11回
中流俸給生活者の住宅:
明治の都市住宅、住宅改良運動、中廊下式と居間中心式 住宅改良会、住宅改善同盟会について調べる。(1時間)
第12回
近代の都市と住宅:
銀座煉瓦街、市区改正、私鉄と郊外開発、工場と社宅街 阪急沿線の池田新市街、東急沿線の田園調布など、戦前の住宅地開発について調べる。(1時間)
第13回
集合住宅と戦後の小住宅:
同潤会、営団と公団、最小限住宅、民間のマンション 同潤会と日本住宅公団の活動について調べる。 (2時間)
第14回
日本の住まいの今後:
振り返り、持家志向、超高層マンション 失われた過去の住まいの良さ、現代住宅の問題点を抽出する。(2時間)
課題等に対するフィードバック
出席票の設問に対する回答については、良いものをピックアップし、質問については、応答を記した上、次回までに提示する。また、なるべく、次の授業回に要点となり得るものを採り上げて解説する。
評価方法と基準
レポート課題(30%)+ 期末試験(70%) で評価し、60点以上を合格とする。
テキスト
平井聖『図説日本住宅の歴史』学芸出版社【ISBN4761520094】
※別に概ね上記書籍の内容に沿いつつ必要と思われる事柄を加味したプリントを配付する。 参考図書
小沢朝江、水沼淑子『日本住居史』吉川弘文館【ISBN4642079475】
内田青蔵、大川三雄、藤谷陽悦『新版図説・近代日本住宅史』 鹿島出版会【ISBN4306044939】 日本建築学会『日本建築史図集』新訂第三版、彰国社【ISBN4395008518】 科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
歴史系4科目の内、暮らしと関係の深い住宅に特化した科目で、日本の原始〜近現代の住宅について学ぶ。古代〜近世の宗教建築、公的建築、都市については日本建築史で対応する。日本人の暮らしは、衣、食、所作に至るまで長い歴史の上に成立している。こうした伝統と新しさが適度に調和した快適で質の高い住宅や住環境を提案・設計する基礎を築く。また、施主や工事関係者の希望や考えを推し量るための基礎的な教養を育む。
履修登録前の準備
高等学校で日本史を履修していない学生が多いと思われる。その不足を、授業で補うように努めるが、概要を学んでおくと理解が深まる。また、夏休み中に、地元の民家園や民家博物館、保存されている住宅の遺構を見学しておくと良い。
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