シラバス情報

授業コード
210089
オムニバス
科目名
電子物性特論
科目名(英語)
Advanced Electron Phenomena
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
火曜2限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
青柳 稔
教室
実務家教員担当授業
指導教員は、電機メーカーおよび自動車メーカーにおいて、電子回路設計と半導体物性に関する実務経験がある。その経験を通して、電子物性に必要な基礎力の育成を授業で扱っている。
授業の目的と進め方
数学的に電子の振る舞いを理解する事が、目に見る事の出来ない電子の物性を深く知り、コントロールするにあたって重要である。電気電子工学分野の研究をおこなうにあたって基礎となる電子の性質について、その発見の歴史を振り返りつつ、重要な性質については数学的そして物理的に解釈することで、より深く電子の動きの基礎を理解することを目的とする。
達成目標1
電子の電荷および質量を求めるにあたって、先人が苦労した技術的な内容について説明できる 【10%】
達成目標2
電界中における電子の振舞について定量的に計算できる 【20%】
達成目標3
磁界中における電子の振舞について定量的に計算できる 【20%】
達成目標4
ボーアの量子論について説明できる 【20%】
達成目標5
前期量子論の基礎(量子数,波動方程式)について概要を説明できる 【30%】
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
電子物性の世界
電子物性とは何かについて、学部において学修した内容を予め整理することを予習とし(1.5時間)、
電子物性の世界の概要を整理することを復習とする(1.5時間)
第2回
電子物理の歴史の概観
電子の発見に関する歴史を調査することを予習とする(2時間)
歴史の外観と現在の状況について整理することを復習とする(1時間)
第3回
電子とニュートンの運動法則
物理の授業で学修したニュートンの運動法則について振り返ることを予習とする(1時間)
電子の振舞とニュートンの運動方程式に関して、さらに深く整理し理解することを復習とする(2時間)
第4回
電気力による陰極線の偏向現象とその計算 
学部の時に学修した電磁気学の電界について整理することを予習とする(1時間)
電界と電子の相互作用を数学的に理解することを復習とする(2時間)
第5回
磁気力による陰極線の偏向現象とその計算
学部の時に学修した電磁気学の磁界について整理することを予習とする(1時間)
磁界と電子の相互作用を数学的に理解することを復習とする(2時間)
第6回
トムソンの実験とエネルギー 
トムソンの実験の概要を調査することを予習とする(1時間)
数学的に電界による電子の動きを理解することを復習とする(2時間)
第7回
素粒子としての電子
素粒子の種類について調査することを予習とする(1時間)
電子を素粒子と考えた場合の我々の専門性について深く考える事を復習とする(2時間
第8回
電荷を測定する:先人の苦労と知恵
現在において、電子の電荷を如何に測定しているのかを調査することを予習とする(2時間)
歴史的に先人がどのような道筋で電荷を測定してきたのか整理することを復習とする(1時間)
第9回
原子の重さを測定する:先人の苦労と知恵
現在では電子の質量を如何に測定しているのかを調査することを予習とする(1時間)
歴史的に先人がどのような道筋で電子の質量を測定してきたのか整理することを復習とする(2時間) 
第10回
電気分解と電子
中学高校の化学で学習した電気分解の内容を見直すことを予習とする(1.5時間)
授業後は、電気分解と電子の電荷量について整理することを復習とする(1.5時間) 
第11回
ボーアの理論と水素原子
遠心力と電磁気力のつり合いについて、それぞれの内容を見直すことを予習とする(1時間)
これらと電子の円軌道について実際に数値を当てはめて計算することを復習とする(2時間)
第12回
量子数, パウリの排他原理
周期律表の原子と電子数の関係を見直すことを予習とする(1時間)
各量子状態とその電子数により周期律表を整理することを復習とする(2時間)
第13回
構築原理と電子配置
構築原理の例外
各量子状態と電子数について整理することを予習とする(1時間)
構築原理から考えた原子の電子数と、その原子の性質について整理することを復習とする(2時間)
第14回
電子の粒子性と波動性
電子の粒子性と波動性について調査することを予習とし(2時間)、電子の波として取り扱いについて復習すること(1時間)


課題等に対するフィードバック
課題についてはコピーを提出すること。授業にて解答を解説する。
評価方法と基準
課題レポート50%と、課題に対するプレゼンテーションと質疑応答50%で総合評価する。
これらの総合点が60%においてC評価となる
テキスト
スティーブン・ワインバーグ著 本間三郎訳 『電子と原子核の発見』 ちくま学芸文庫(2006)
[ISBN:10-4480089675]
参考図書
日野太郎 森川鋭一 串田正人著 『電気・電子材料』 森北出版(1991) [ISBN:10-4627705506] 
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
本学の綱領である、理論を現実化する為に学ぶ実工学において、理論や実工学を深めるためには、定量的に工学を考えることが重要である。この授業は、特に、学部において座学で学んできた電子物性の基礎をより数学的に学修する科目である。学部の時に学修した数学と物理の力が試される科目であり、数学と物理の復習をしながら受講してほしい。
履修登録前の準備
この授業は、「半導体物性特論」とセットで受講すると学修効果がよい。電界中や磁界中における電子の動きについて数学的に解説するので、学部の時に学修した電界と磁界について整理しておこと。