シラバス情報

授業コード
210648
オムニバス
科目名
生体情報処理特論
科目名(英語)
Advanced Biometric Information Processing
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
月曜5限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
前期_電子情報メディア工学専攻教員
教室
実務家教員担当授業
担当教員の荒川は自動車メーカーで人間工学研究やHMI開発の経験があり、この経験に即した指導を行う。
授業の目的と進め方
生体情報を扱えるようになり、また、解釈できるようになることはヒューマンファクタ研究などで必須である。しかし、生体情報と十把一絡げに言ってもそれぞれ長所短所が存在し、適切に扱う必要がある。本授業では、ヒューマンファクタ研究などで活用される主要な生体情報とその解析手法および解釈について理解する。座学による講義の他に、実際に得られた生体信号を処理、その結果に関する評価も行う実践的な要素も含んでいる。
達成目標1
生体情報を計測する利点について理解する。【10%】
達成目標2
生体計測の各手法について、それぞれの長所と短所を理解する。【10%】
達成目標3
生体計測の各手法の原理について理解する。【20%】
達成目標4
生体計測の各手法を用いて得られたデータの解析ができる。【30%】
達成目標5
自身の研究において適切な生体計測手法を検討できる。【30%】
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
ガイダンス/生体情報を計測する意義
研究で活用される生体情報とその計測方法について整理しておく(予習1時間)。アンケート調査による評価と生体情報による評価の違いを整理する。研究で活用される生体情報について整理する(復習2時間)。
第2回
脳活動(1):脳波(EEG)・脳血流など/計測のメカニズム/評価方法
脳活動の計測手法を整理すると共に、脳活動からどのような生体情報を把握できるか整理する(予習1時間)。時間分解能と空間分解能の観点から、自身の研究で活用できる計測方法について考察する(復習2時間)。
第3回
脳活動(2):計測上留意すべき点・実際の活用例
脳活動を計測するに当たって留意する点について調査する(予習1時間)。自身の研究で脳活動計測が活用できるか考察する。もし可能である場合は、どのような点に留意すべきか考察する(復習2時間)。
第4回
心拍(ECG)(1):計測のメカニズム/様々な評価手法(RRI、LF/HF、CVRRなど)
心拍の計測手法を整理すると共に、心拍からどのような生体情報を把握できるか整理する(予習1時間)。心拍について、自身の研究への適用可能性について考察する(復習2時間)。 
第5回
心拍(ECG)(2):計測上留意すべき点・実際の活用例
心拍を計測するに当たって留意する点について調査する(予習1時間)。自身の研究で心拍計測が活用できるか考察する。もし可能である場合は、どのような点に留意すべきか考察する(復習2時間)。
第6回
眼電位(EOG)/視線挙動(1):計測のメカニズム/評価方法
眼電位・視線挙動の計測手法を整理すると共に、眼電位・視線挙動からどのような生体情報を把握できるか整理する(予習1時間)。眼電位・視線挙動について、自身の研究への適用可能性について考察する(復習2時間)。
第7回
眼電位(EOG)/視線挙動(2):計測上留意すべき点・実際の活用例
スムーズパシュート、サッカードなど、「眼の動き」から得られる情報について整理する。眼電位・視線挙動を計測するに当たって留意する点について調査する(予習1時間)。自身の研究で眼電位・視線挙動が活用できるか考察する。もし可能である場合は、どのような点に留意すべきか考察する(復習2時間)。
第8回
血圧
血圧からどのような生体情報が計測できるか調査する(予習1時間)。血圧から計測できる生体情報の長所・短所について考察すると共に、自身の研究への適用可能性について考察する(復習2時間)。
第9回
呼吸・発汗
呼吸・発汗からどのような生体情報が計測できるか調査する(予習1時間)。呼吸・発汗から計測できる生体情報の長所・短所について考察すると共に、自身の研究への適用可能性について考察する(復習2時間)。
第10回
近年特徴的な生体情報(顔画像・サーモグラフィ)
顔画像からどのような生体情報が計測できるか調査する(予習1時間)。顔画像から計測できる生体情報の長所・短所について考察すると共に、自身の研究への適用可能性について考察する(復習2時間)。
第11回
生体計測デバイス
市販されている生体計測デバイスについて整理する。なぜApple Watchの出現が大きな変化をもたらしたか考察する(予習1時間)。接触型デバイスと非接触型デバイスの長所・短所を整理すると共に,それぞれのデバイスで計測できる生体情報について整理する(復習2時間)。
第12回
生体計測の実用例
自身の研究に関連する論文を調査する(予習1時間)。自身の研究に関連する内容で,自身の研究に適用できそうな手法を活用した論文を調査する(復習2時間)。
第13回
生体計測における注意点
生体情報を取得するに当たって倫理的な配慮の必要性について調査する(予習1時間)。自身の研究においてどのように倫理的な配慮をすべきか、計測上注意すべき点は何か、考察する(復習2時間)。
第14回
総括
これまで学んだ内容を復習する(予習1時間)。これまで学んだ知見を生かして、自身の研究において、どのような生体情報を活用することができるか考える。その際に注意すべき点を踏まえて実験計画を考察する(復習2時間)。


課題等に対するフィードバック
基本的には授業内で課題の解答・解説をすることでフィードバックとするが、状況によってはメールやTeams経由でフィードバックをすることもある。 
評価方法と基準
レポート提出により評価する。不十分な考察の場合は再提出となる。60点以上で合格とする。 
テキスト
プリントを適宜配布する。
参考図書
「MATLABで学ぶ生体信号処理」小野弓絵著 コロナ社 【ISBN-13: 978-4339072457】
また、図書ではないが、下記論文も参考として欲しい。
Toshiya Arakawa: Trends and Future Prospects of the Drowsiness Detection and Estimation Technology, Sensors, Vol.21, No.23, 7921 (2021) DOI: 10.3390/s21237921.
Toshiya Arakawa: A Review of Heartbeat Detection Systems for Automotive Applications, Sensors, Vol.21, No.16, 6112 (2021) DOI: 10.3390/s21186112.
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
ヒューマンファクタなどの研究で生体情報を扱えるようになり、また、解釈できるようになることは必須である。アンケート調査に比べて面倒ではあるが、より客観的な指標である生体情報の計測技術および解析手法について学ぶことで研究の幅を広げることが期待される。
履修登録前の準備
基本的な信号処理の技術を復習しておくこと。特に、スペクトル解析、フーリエ変換などは復習しておく必要がある。