シラバス情報

授業コード
220084
オムニバス
科目名
情報システム性能評価特論
科目名(英語)
Advanced Course on Information SystemsPerformance Evaluation
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
水曜1限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
吉野 秀明
教室
実務家教員担当授業
担当教員の吉野秀明は、通信ネットワークの設計・制御・管理に関する研究開発等に関する実務経験がある。その経験を活かし、情報システムのモデル化と性能評価手法に関して、学部授業よりも実践力を更に高める内容を授業で扱っている。
授業の目的と進め方
情報ネットワークやコンピュータなどの情報システムを効率的に設計・構築し有効に活用するためには、その性能を的確に把握することが重要となる。本講義では、情報システムのモデル化と性能評価手法について修得することを目的とする。 
達成目標1
・複雑なシステムの本質を抽出するモデル化の考え方を理解し、評価対象システムをモデル化することができる【20%】
達成目標2
・複数の性能評価手法の特徴を理解し、評価対象システムに適する手法を的確に選定できる【10%】
達成目標3
・システムの特性を的確に捉える性能指標と測定手法を理解し、システムの特徴に合わせて、それらを使い分けることができる【15%】
達成目標4
・システム設計の基礎理論として重要な確率統計論を理解し応用することができる【20%】
達成目標5
・待ち行列システムの各種モデルの違いを説明でき、理論式を用いて性能評価値を算出できる【15%】
達成目標6
・統計的に裏打ちされたシミュレーション技術を理解し活用できる【20%】
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
情報システム性能評価の概要 
日常的に利用している情報システム(以下、事例システムと略す)を対象として、その性能を評価するための尺度をまとめること(2時間) 
第2回
モデル化、システムの入出力 
事例システムの性能を評価するためのモデルと必要となる入出力パラメータをまとめること。またモデルの複雑さと入出力パラメータ数との関係を整理すること(3時間) 
第3回
性能評価の手順、尺度と手法の選択 
事例システムに対して課題2の入出力パラメータを用いて、課題1の評価尺度を導出するために最適な性能評価手法を選定すること(3時間) 
第4回
測定手法とツール 
コンピュータシステムの性能評価のために利用されている測定ツール、ベンチマークツールを調査し特徴をまとめること。この中で、事例システムに適用可能なツールを試行してみること(3時間) 
第5回
負荷特性の分析:平均、高次モーメント、主成分分析 
上記課題4のツールを用いて、負荷特性を測定し、測定データに対する平均、分散を求めること(3時間) 
第6回
分析結果の表示、グラフ化 
上記課題5の負荷特性をその特徴が明確に表現できるようにグラフ化すること。また、評価手法を用いて同負荷を入力した時のシステム性能評価尺度を求めること(3時間) 
第7回
性能評価のための確率と統計 
確率統計のテキスト等を参考に次の事項を復習しておくこと:確率変数、確率分布、モーメント、仮設検定、回帰分析(2時間) 
第8回
サンプリングと信頼区間 
例題データを対象に正規分布とt分布で信頼区間を求め、その差を比較すること(3時間) 
第9回
重回帰分析、因子分析 
回帰分析などの統計解析に適するフリーウェアのR言語を用いて、例題データを対象とした回帰分析を実行し結果をグラフ化すること(3時間) 
第10回
待ち行列システムの概要、リトルの公式 
リトルの公式で表現される各種待ち行列システムのうち、理論式により厳密解が得られるモデルを抽出し整理すること(3時間) 
第11回
単一待ち行列システム 
複数窓口のシステムを対象に、窓口毎に列を作る方式と単一行列方式(フォーク並び)について、その特性を比較評価すること(3時間) 
第12回
待ち行列ネットワーク 
積形式解を有する待ち行列ネットワークに対する計算方法について特徴と計算上の留意点をまとめること(3時間)
第13回
シミュレーションにおける乱数の生成と検証 
各種の乱数生成方式ならびに乱数検定方式の特徴を整理しまとめること(3時間) 
第14回
シミュレーション技法と統計分析 
シミュレーションにおける初期状態の除去方法、組平均法、信頼区間の算出法を整理しまとめること(3時間) 


課題等に対するフィードバック
調査課題に関するプレゼンテーションに対して、授業内で解説するなどにより適宜フィードバックする。
評価方法と基準
調査課題に対するレポートとプレゼンテーションに基づいて総合得点を求め、60点以上70点未満をC評価とする。
レポート、プレゼンテーションに対するコメントを必ず復習しておくこと。 
テキスト
プリントを配布 
参考図書
白鳥則郎監修、佐藤文明、斎藤稔、石原進、渡辺尚著『シミュレーション』共立出版(2013)【ISBN:978-4320123182】
滝根哲哉、伊藤大雄、西尾章治郎著『ネットワーク設計理論』岩波書店(2001)【ISBN:978-4000110556】
Raj Jain : The Art of Computer Systems Performance Analysis, Wiley(1991)【978-0471503361】 
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
大学院修士1年次の講義として学部授業とは独立しているが、学部において、主に情報通信システム関連専門科目の単位を修得していることが望ましい。 
履修登録前の準備
参考図書等のシステム性能評価に関連する図書を一度読み通しておくことが望ましい