シラバス情報

授業コード
220122
オムニバス
科目名
適応信号処理特論
科目名(英語)
Advanced Adaptive Signal Processing
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
月曜2限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
木許 雅則
教室
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
適応信号処理は、使用環境や対象とする信号の性質が時間的に変動する場合において、信号処理の方法を適応的に変化させる学習機能を持つ信号処理技術である。
本授業では、ディジタルフィルタの基礎事項に始まり、信号の特徴や性質、パラメータ推定の概念、代表的なアルゴリズムやその応用技術を学ぶ。授業は輪講形式で行い、適宜、ディスカッションや演習を通じて能動的に学習に取り組む。
達成目標1
AD変換の仕組みとそれに関わるサンプリング定理が説明できる。【20%】
達成目標2
確率過程に従う不規則信号について、その特徴や性質を解説することができる。【20%】
達成目標3
適応フィルタによるパラメータ推定の概念について説明できるとともに、その定式化が行える。【20%】
達成目標4
代表的な適応アルゴリズムであるLMSとRLSの係数更新方法について説明することができ、それらの収束性能に差が生じる原因について解説できる。【20%】
達成目標5
授業内で紹介した具体的な適応フィルタを応用したアプリケーションについて、それらの処理概要が説明できる。【20%】
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
適応信号処理の概要 
「適応」的な信号処理が行われている身近な機器や技術についてリストアップしてみる。また、固定的な信号処理との違いや利点について復習すること。(2時間) 
第2回
アナログ信号とディジタル信号 
アナログ信号である音をディジタル化する利点について調べる。また、アナログ信号とディジタル信号の違いとそれらの相互関係について復習すること。(2時間) 
第3回
AD変換とサンプリング定理 
AD変換の手順およびサンプリング定理の内容と必要性について復習しておくこと。(2時間) 
第4回
様々な信号 - 確定信号と確率過程 - 
確定信号と確率過程の定義について調べる。確率過程に従う信号や、関連する集合平均、エルゴード性の内容について復習すること。(2時間) 
第5回
インパルス応答と畳み込み演算 
インパルス応答について、室内空間等を例にして、その成り立ち(構造)がイメージできるように復習すること。また、畳み込み演算により任意波形に対する応答が計算できるようにすること。(2時間) 
第6回
FIR/IIRディジタルフィルタ 
インパルス応答が有限(FIR)、または無限(IIR)となるシステムの具体例について調べる。非巡回形・巡回形ディジタルフィルタの構成について復習すること。(2時間) 
第7回
適応フィルタ 
適応フィルタの概要およびその必要性について調べること。(2時間) 
第8回
パラメータ推定と最適解 
適応フィルタにおけるパラメータ推定の仕組みについて復習するとともに、最適解であるWiener-Hopfの解を導出すること。(2時間) 
第9回
適応アルゴリズム(1、LMSアルゴリズムと学習同定法) 
LMSアルゴリズムの係数更新式を誤差局面上での動きとともに復習し理解すること。(2時間) 
第10回
適応アルゴリズム(2、RLSアルゴリズム) 
入力信号の自己相関行列の特徴およびそれが非正則となる状況について調べること。RLSアルゴリズムの係数更新式を誤差局面上での動きとともに復習し理解すること。(2時間) 
第11回
適応フィルタの応用例(1、エコー/ノイズキャンセラ) 
エコーキャンセラの動作原理について復習するとともに、身近な適用例について調べること。(2時間) 
第12回
適応フィルタの応用例(2、能動騒音制御) 
能動騒音制御の動作原理について復習するとともに、身近な適用例について調べること。(2時間) 
第13回
適応信号処理の最新技術(1、文献調査) 
適応信号処理に関連する最新の文献について調査し、そのうちの一編について内容を理解すること。(3時間) 
第14回
適応信号処理の最新技術(2、文献紹介) 
第13回で調査した文献について、その内容をまとめ報告書を作成すること。(3時間) 


課題等に対するフィードバック
提出された演習課題等は採点後に返却します。内容を必ず復習して下さい。
評価方法と基準
演習課題(100%)に基づき100点満点で評価する。なお、60点以上をC評価とする。
 
テキスト
開講時に指示する。その他、適宜資料プリントを配布する。 
参考図書
サイモン・ヘイキン著、武部幹訳『適応フィルタ入門』現代工学社 【ISBN:4-87472-134-6】
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
本授業では、適応信号処理の基礎理論とその問題を解くための手順である具体的なアルゴリズムを学ぶことで、音響や移動体通信を中心としたシステムにおけるデータの高品質化の仕組みや、それらで発生する実問題を解決するための知識や技術が得られる。
履修登録前の準備
ベクトル・行列の演算や微分・積分、確率・統計など、基礎的な数学の知識が必要となるため復習しておくこと。