シラバス情報

授業コード
210007
オムニバス
科目名
福祉生活環境論
科目名(英語)
Universal-design design theory
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
月曜2限
対象学科
博前_建築
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
野口 祐子
教室
実務家教員担当授業
担当教員の野口祐子は、障害者支援の実務経験があるため、障害者、高齢者の生活環境整備に関して実践的なテーマや実例を授業に活かしている。
授業の目的と進め方
福祉は今や人々の生活自体を包含するものとして私たちの日常と関わっているが、誰もが獲得すべき「普通の生活」と「参加」を指標にして高齢者や障がいのある人、また、子どもやその親、低所得者など一時的にでも生きづらさを抱える人々も視野に入れ、建築領域における解決、あるいは評価すべき事例を提供し検討しあうことを目的とする。
達成目標1
「普通の生活」=Normalizationについて実際にどのような生活を意味するかを正しく説明できる。【20%】
達成目標2
Normalizationを実現するために整備、あるいは創造されるべき建築物についてのコンセプトを描くことができる。【15%】
達成目標3
Normalizationが活かされてない建築環境において、その原因を分析し、解決への提案を述べることができる。【20%】
達成目標4
「参加」=Participationは、社会への参加を意味するが、その具体的な内容を正しく説明できる。【15%】
達成目標5
Participationを可能としている建築事例を正しく示し、参加の質を評価することができる。【15%】
達成目標6
participationを妨げている建築的問題点を示し、さらにその問題形成に影響を及ぼす建築以外の諸事情を指摘できる。【15%】
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
建築学における「福祉生活環境論」の位置づけ
予習:厚生労働省のホームページや「社会福祉の動向」等から、社会福祉について基礎的な知識を得ること。(2時間)
復習:さらに「障害者白書」「高齢社会白書」等で障がい者、高齢者について基礎的な知識を得ること。(3時間) 
第2回
福祉的環境の対象
予習:公共建築物を含め、建物がどのような人々によって使用されているかを具体的に確認すること。(2時間)
復習:Normalizationについて自分なりに事前に調べておく。(3時間)
第3回
Normalizationの背景
予習:Normalizationについて自分なりに事前に調べておく。(3時間)
復習:Normalizationの思想が拡大した背景や、それが支持された理由を復習すること。(2時間)
第4回
Normalizationとバリアフリー
予習:バリアフリーの概念について事前に調べておく。(3時間)
復習:Normalizationの実現に必要なバリアフリーについて、物心両面から、その関連性も含め復習すること。(2時間) 
第5回
バリアフリーの思想と建築
予習:バリアフリーはどのような場合、どのような人によって利用させるか、事前に事例を考えておく。(2時間)
復習:バリアフリーの評価について、世間でつかわれている幾つかの例を事前に調べておくこと。(3時間)
第6回
バリアフリーが取り入れられた建築事例
予習:身近なバリアフリーを取り入れた建築物をあげ、その特徴を調べる。(3時間)
復習:バリアフリーの指標を元に評価し、分析をしてみる。(2時間)
第7回
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)にみる「参加」の意義
予習:ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)、ICF以前のICIDH(国際障害分類)についても事前に調べておく。(3時間)
復習:ICFに見る「参加」を身近な事例を調べる。(2時間) 
第8回
Participation (=参加)とユニバーサルデザイン
予習:あらゆる人にとって、社会への参加を不可能にしている事例について知った内容を復習すること。(2時間)
復習:ユニバーサルデザインの実現と社会参加の可能性について考えをまとめること。(3時間)
第9回
ユニバーサルデザインの思想と建築
予習:ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いを理解しておく。(2時間)
復習:身近なユニバーサルデザインの例を挙げてみる。(2時間) 
第10回
様々なユーザーのニーズとデザインの融合としてのユニバーサルデザイン事例
予習:ユニバーサルデザインについて、その事例を評価し分析ができるようにする。(2時間)
復習:ユニバーサルデザインの理念を取り入れた建築の特徴を整理する。(3時間) 
第11回
障害者権利条約と社会モデル
予習:2006年採択、2014年日本で採択された「障害者権利条約」の情報収集。(3時間)
復習:社会モデルを身近な事例に当てはめて考える。(2時間)
第12回
保健・医療・福祉と建築の連携
予習:保健・医療・福祉・建築の連携の事例を情報収集する。(2時間)
復習:多分野の連携における建築の役割を整理する。(3時間) 
第13回
様々な理念と建築の役割(発表)
予習:発表の準備。(3時間)
復習:発表のコメントやほかの学生の発表から、自分の発表の振り返りを行なう。(3時間) 
第14回
福祉やユニバーサルデザインの思想が反映された建築の実地調査
予習:建築物について事前調査する。(2時間)
復習:現地調査して把握したことを整理する。(3時間) 


課題等に対するフィードバック
授業の様々な場面で双方向のディスカッションをおこない、課題や発表等の成果に対して、コメントするなどのフィードバックをおこなう。
評価方法と基準
小レポート(30%)+期末のレポートと発表(70%)を合計して100点満点で換算し、60点以上を合格とする。
テキスト
テキストは指定しない。その都度必要に応じて図書を紹介、また、プリントを配布する。
参考図書
「社会福祉の動向」、「厚生労働白書」、「高齢社会白書」、「障害者白書」(それぞれ最新版) 
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
建築領域における福祉的な配慮に関して、「福祉」を大きく、NormalizationとParticipationから検討することを目的としている。Normalizationに関しては、それが建築領域に波及する要因をもつこと、Participationに関しては、社会参加のための手段の中における建築的貢献について研究する。また、それぞれの実現化の手段として、バリアフリーとユニバーサルデザインを、事例をもとに検討する。
履修登録前の準備
大学院1年の春学期の科目であることから、資料調査方法の会得も目的とするので、学内外の図書館の利用を経験しておくこと。