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教員名 : 那須 秀行
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授業コード
210012
オムニバス
科目名
木質構造設計論
科目名(英語)
Advanced Timber Structural Design
配当学年
1年
単位数
2.00単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
水曜2限
対象学科
博前_建築
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
那須 秀行
教室
実務家教員担当授業
担当教員の那須は、住宅メーカーの研究開発部門およびスウェーデンの研究所にて豊富な実務経験があり、内容の濃い先端的な授業内容である。世界の先端的な木質構造の実例を学ぶ他、研究開発部門での実務にも使える実践的かつ自らの考えにより木質構造に関する探究ができる基礎となる。
授業の目的と進め方
環境負荷の少ない構造として益々期待される木質構造。その最先端技術の例を学ぶと共に、自らも架構や接合部のアイデアを出して構造設計を行い、必要に応じて接合部実験等も行う。木質構造における設計技術を実践的に学ぶ。
達成目標1
導入(1~2回):木造建築が世界的に期待されている状況を理解することで、木質構造設計や研究開発への意欲が向上する。国内外の実例を取り上げて検証することで、これからの木質構造のあるべき方向性を論じることができる。【10%】
達成目標2
初期(3~5回):木質構造を性格付ける木材の物理特性および構造形式を理解し、それを実務でも活かせる。【10%】
達成目標3
前半(6~7回):一般的かつシンプルな木質構造の架構について、構造安全性を確保するための設計要件を設定できる。【20%】
達成目標4
中盤(8~10回):木質構造の架構に対する要件を元に、それを満たす構造計画および耐久計画をたて設計することができる。【20%】
達成目標5
後半(11~12回):柱や梁に想定される各種の応力度を算出し、その応力度に見合う部材の断面設計ができる。【20%】
達成目標6
終盤(13~14回):新たな接合部を研究開発すべく要求性能を自ら設定し、その安全性を検証評価できる手法を身につける。【20%】
達成目標7
アクティブラーニング
ディスカッション
○
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
○
実習
○
フィールドワーク
その他課題解決型学習
自ら考案した構造や接合部などに関し、それを検証するための実験計画や治具設計を行う。
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
木質構造の実例1(国内)
国内における最近の木質構造に関する事例を各自調査しておく。
第2回
木質構造の実例2(欧州を中心とした海外)
海外、特に先進国における最近の木質構造に関する事例を各自調査しておく。
第3回
木材利用の意義、木材の強度特性
学部までに修得した木材の物理的な特性、特に直交異方性、含水率による強度や寸法変化等を復習しておく。
第4回
木材の加工、木質建材
集成材やパネル等のエンジニアリングウッド、木質構造材料の種類と製造方法、特徴を各自調べておく。
第5回
木質構造の種類と特徴、接合の形式
木質構造の代表的な構法を理解するだけでなく、最近の挑戦的な木質構造の実例における構造形式を調べておく。
第6回
木質構造架構の設計演習(1)要求性能の設定
主に地震に対する構造設計時の設定荷重(固定荷重・積載荷重)の条件を理解しておく。
第7回
木質構造架構の設計演習(2)架構安全性の検証
木造の壁量計算のやりかたを復習すると共に、架構にかかるモーメントとせん断力を算出できるよう復習しておく。
第8回
木質構造の構造計画と耐久設計
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を参考に耐力壁と接合部の仕様、耐久設計上留意すべき点を調べておく。
第9回
木質構造の部材設計、耐力壁の設計
地震応力により各部材に入力される応力度を算出できるよう力学系科目、木質構造科目を復習しておく。
第10回
床、小屋組の設計(鉛直過重、水平過重)
分布荷重がかかる単純梁のスパン中央部のモーメントとたわみを算出できるよう復習しておく。
第11回
引張、圧縮を受ける材の断面設計
部材にかかる応力と垂直応力度の関係を復習しておく。木質構造における座屈検定のやりかたを理解しておく。
第12回
接合部の設計、接合具・接合金物
鋼材の基本特性と基準強度F値、許容応力度f値を理解すると共に、特殊鋼の種類と特性を調べておく。
第13回
木質構造接合部の設計演習(1)要求性能の設定
接合部に入力される応力を架構全体の重量から概ね想定できるよう、建築学会の荷重指針等を参照しておく。
第14回
木質構造接合部の設計演習(2)接合安全性の検証
新たな接合方式を提案すべく、あらかじめ接合形式を企画しておく。その破壊モードについても予測しておく。
課題等に対するフィードバック
次回の授業内に解説やフィードバックをする。
評価方法と基準
課題提出60%、演習40%、各回における質疑応答、課題の完成レベル等を勘案して評価する。
上記の総合点が60点以上を合格とするが、授業への取組姿勢も加味する。 テキスト
杉山英男編『建築の基礎1 木質構造 第4版』共立出版 (2010) 【ISBN:978-4-320-07701-0】
参考図書
菊池重昭編『建築構造学シリーズ 建築木質構造 第1版』オーム社 (2010) 【ISBN:4-274-13240-4】
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
学部で学んだ力学・材料系の素養を基礎としつつ木質構造・鋼構造・鉄筋コンクリート構造を総合的に理解した上で更に深く木質構造を学べる。国内外の木質構造の実例を参考としつつ、自ら架構や接合部のアイデアを出しその実現性の検証を行う。構造安全面はもちろんのこと、施工性や耐久性、コストや意匠面等も考慮し木質構造を総合的に探究する。将来、木質構造に資する研究開発や実務設計に資する高いレベルの専門能力が身につく。
履修登録前の準備
基礎となる力学を理解し、例えば架構のモーメント図が書ける、梁のたわみ量を算出できる、オイラーの座屈方程式が理解できていること。木質構造の可能性を広げるべく、国内外における木質構造の先端的な接合技術や実例を各自調査しておくこと。
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