シラバス情報

授業コード
210051
オムニバス
科目名
耐久性診断特論
科目名(英語)
Advanced Durability Diagnostics for Buildings
配当学年
1年
単位数
2単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
水曜3限
対象学科
博前_建築
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
田中 章夫
教室
実務家教員担当授業
担当教員の田中は、コンクリート材料の設計・調査診断に係る業務に従事経験がある。原位置における構造物の耐久性診断技術をテーマとし、鉄筋コンクリート構造物に起きている現象をラボレベルから検討することを得意とする。実構造物の生の情報から診断を行うため、受講者は実構造物のばらつきの捉え方など様々な視点から研究を進める視野を得る。  
授業の目的と進め方
鉄筋コンクリート構造物の計測技術・診断方法を学ぶ。診断方法では、破壊による実験値・非破壊検査から得られる値の意味について検討するとともに非破壊検査におけるばらつきの捉え方・処理方法に関し検討する。さらに値から中性化・フィックの拡散理論などを用いて劣化を予測し、建築物の耐久性評価を行う。
また、計測技術では、破壊試験・非破壊試験の技術体系を学び、建物調査に必要な計測技術の修得を目指す。
達成目標1
建物の耐久性診断が可能な知識を修得し、具体的な提案が出来るようになる。【30%】
達成目標2
様々な計測技術を理解することで、自身の研究能力に幅を持たせることが可能となる。【20%】
達成目標3
非破壊試験の曖昧さを理解し、値が示す意味を多角的に捉え評価することが可能となる。【50%】
達成目標4
達成目標5
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
耐久性診断の概要
鉄筋コンクリート構造物に限らず、建物の劣化について調べておくと良い。(2時間)
第2回
計測技術①(ひずみゲージの原理)
電気抵抗に影響を及ぼす環境的要因について、調べておくこと。(2時間)
第3回
計測技術②(ひずみゲージの計測)
ひずみゲージの原理を調べておくこと。ホイートストンブリッジについて調べておくと良い。(2時間)
第4回
検査技術の技術体系
非・破壊検査の種類と特徴を調べておくと良い。(2時間)
第5回
非破壊検査①(透気試験)
透気試験を理解するため、ダルシ—則、ハーゲンポアズイユ則を調べておくこと(2時間)
第6回
非破壊検査②(光学的検査)
光学的試験を理解するため、様々な波長における特性を調べておくこと。(2時間)
第7回
非破壊検査③(打音検査)
打音検査を理解するため、打音検査の種類と原理を調べておくこと。(2時間)
第8回
非破壊検査④(目視)
構造物を調査するうえで、目視検査は必要不可欠である目視検査における問題点を調べておくと良い。(2時間)
第9回
演習 統計処理
標準偏差・変動係数の意味を調べ、分散分析を理解しておくこと。(2時間)
第10回
演習 棄却検定
スミルノフ・グラブス検定を調べ、計算が出来るようにしておくこと。(2時間)
第11回
演習 診断(中性化深さの推定)
中性化の進行に影響を与える要因について調べ、取りまとめておくこと。(2時間)
第12回
演習 診断(中性化による鉄筋腐食確率の算出)
鉄筋コンクリート構造物の限界状態を調べておくこと。(2時間)
第13回
演習 診断(フィックの拡散方程式による塩化物の予測)
フィックの拡散方程式を調べ、計算が出来るようにしておくこと。(2時間)
第14回
総合演習
耐久性診断の概要を見直し、測定項目に合わせた試験方法の選定が出来るようにしておくと良い。(2時間)


課題等に対するフィードバック
解答例を示すことで、これをフィードバックとする。
評価方法と基準
演習課題【100%】
演習課題の内容に基づいて評価し、60点以上を合格とする。
テキスト
特になし。
参考図書
適宜配布する
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
 この科目は、鉄筋コンクリート構造物の耐久性診断の方法を学ぶだけではなく、構造系実験における試験値の不確かさ・ばらつきを実例から学修し、統計処理・棄却検定を通して、実験値の意味を検討する。特に鉄筋コンクリート構造物に発生している事象と実験から得られる結果を比較・検討し、実構造物と実験室の差から得られる不確定要素について、説明を可能とする専門的な能力を実例から身につける。
履修登録前の準備
学部で履修した構造力学Ⅰ・Ⅱを理解していることが前提となる。また、数学・物理学の基本的な知識が必要となる。特に、数学的知識は分散・統計処理の理解が必須となるため、高校数学を見直しておくと良い