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教員名 : 生駒 哲一
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授業コード
210414
オムニバス
科目名
ソフトコンピューティング特論
科目名(英語)
Advanced Soft Computing
配当学年
1年
単位数
2単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
水曜2限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
生駒 哲一
教室
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
知能情報処理に関する一連の方法論の集まりはソフトコンピューティングと呼ばれ、ファジィ、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムや進化計算などがこれに含まれる。本科目ではこれらに留まらず、論理と推論、自然言語処理、知識工学、機械学習、ベイジアンネットや統計的因果推論、強化学習など、更に広い範囲の知能情報処理等に関する方法論群に対し、それぞれの中心的なトピックを採り上げ、それらの内容を包括的かつ実践的に学ぶ。
達成目標1
関連する一連の知能情報処理の方法論群について、その全体像を把握し、説明できる。【10%】
達成目標2
論理と推論、自然言語処理、知識工学といった、古典的な人工知能の方法論を知り、例題を解くことができる。【15%】
達成目標3
ファジィ理論として、ファジィ集合論、ファジィ論理、ファジィ推論などについて知り、例題を解くことができる。【10%】
達成目標4
ニューラルネットワークの古典的な話題であるパーセプトロン、誤差逆伝播アルゴリズム、相互結合ネットワークを知り、それらの歴史や概略を説明できる。【15%】
達成目標5
ニューラルネットワークの最近の方法論である深層学習や、関連する機械学習の手法であるサポートベクターマシンなどについて、それらの内容を知り、概略を説明できる。【20%】
達成目標6
数値的最適化の基礎と、遺伝的アルゴリズム等の発見的方法での最適化法を知り、それらの全体像と概略を説明できる。【15%】
達成目標7
ベイジアンネット、統計的因果推論、強化学習などの方法を知り、それらの概略を説明できる。【15%】
アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
導入ガイダンス
本科目で学ぶ一連の知能情報技術群の全体像を把握するために、各々の方法論を分類あるいはグループ化した図などで表す。(2時間)
第2回
論理と推論
命題論理や述語論理について、記号や標準形などの基本的事項を理解し、各種の推論(前向き、後ろ向き、背理法)を行えるようになる。(2時間)
第3回
自然言語処理
句構造文法とその階層について知り、統語解析を行って句構造木を生成することができるようになる。(2時間)
第4回
知識工学
知識工学の発祥、プロダクションシステム、フレーム表現などについて調べ、知識を整理しノートなどにまとめておく。(2時間)
第5回
ファジィ理論
あいまいさを扱うために集合論を拡張したファジィ集合論と、論理においてあいまいさを扱うファジィ論理、関係性にあいまいさ加えたファジィ関係とそれに基づき定式化されるファジィ推論について、知識を整理しノートなどにまとめておく。(3時間)
第6回
ベイジアンネットワークと統計的因果推論
多変量間の関係性をデータから学習する確率的技法であるベイジアンネットワークおよび統計的因果推論について、その概略と手順を調べ、ノートに整理する。(2時間)
第7回
ニューラルネットワーク(1)階層型ネットワーク
階層型ニューラルネットワークの構造を知り、順向き計算および学習の方法を理解し、それらを実施できるようになる。学習アルゴリズムについては、古典的な3層パーセプトロンの中間層−出力層間の重み学習における線形分離不可能な写像に対する困難と、その困難を解決した誤差逆伝播学習アルゴリズムについて、理解する。(3時間)
第8回
ニューラルネットワーク(2)相互結合ネットワーク
相互結合型ニューラルネットワークの一つであるホップフィールド型ニューラルネットワークについて、エネルギー最小化に基づく原理と、パターン連想の動作を理解する。確率的な動作をするボルツマンマシンについても、理解を進める。(2時間)
第9回
深層学習(1)畳み込みネットワーク、物体検出、セグメンテーション
深い階層を持つニューラルネットワークの学習における困難さと、それがどう解決され、どう洗練されてきたかを知る。画像認識等に用いられる畳み込みニューラルネットワークCNNと、物体検出や画像セグメンテーション向けのネットワークについて、それらの構造を知り、いくつかの典型的な事例を実際に動作させて、仕組みを把握する。(3時間)
第10回
深層学習(2)再帰型ネットワーク、生成モデル
出力を入力側に再帰する構造を持つリカレント型のネットワークである再帰型ニューラルネットRNNや長・短期記憶LSTMなどの構造や問題点を理解し、それを克服したTransformerと生成モデルとしての発展について知る。生成モデルの一つであるオートエンコーダ、生成モデルの効果的な学習方法である敵対的生成ネットGANを知り、その使い方を理解する。(3時間)
第11回
機械学習〜サポートベクタマシン
判別問題を高次元空間への非線形写像と線形分離手法により定式化したカーネルマシンのうち、サポートベクターマシンSVMについて、その原理と使い方を知る。(2時間)
第12回
数値的最適化(1)降下法、準ニュートン法など
数値的最適化法問題の定式化と、その解法のバリエーションである最急降下法、共役勾配法、準ニュートン法等の手順と性質について、ノートなどに整理し記述する。(2時間)
第13回
数値的最適化(2)遺伝的アルゴリズム、進化計算
発見的方法により非線形最適化問題を解く方法である遺伝的アルゴリズムや進化計算などの一連の方法群について調べ、知識をノートなどに整理しておく。(2時間)
第14回
強化学習
環境との相互作用から行動を学習する手法である強化学習について調べ、その理論や学習の方法などについての知見を、整理しておく。(2時間)
課題等に対するフィードバック
各授業で課題として提出されたレポートについて、次の授業以降に、必要に応じた解説を行う。
評価方法と基準
各方法論について、それぞれレポート課題を課し、レポートの内容で評価する。
レポートの内容の評価点を累積して合計(100点満点)を算出し、合計が60点以上の場合に単位を与える。 テキスト
特に指定しない。必要に応じて、適宜、配布資料を使う。
参考図書
授業の各回の話題について、複数の参考書を提示するので、適宜参照すること。
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
近年注目されている人工知能などのキーワードの背景にあるさまざまな考え方や工夫された方法論をしっかり学ぶことは、最先端の方法を理解し活用する上で必要不可欠である。本科目では、これらの幅広い知識について、全体的な視点を保ちつつ、個別の方法論の要点を理解することで、それら方法論群に対し正しい理解を身に付けるものである。
履修登録前の準備
授業で学ぶ各方法論について、事前にそれらの概要を調べ、把握しておくことが望ましい。関連する基本的な知識についても確認しておき、授業での説明が理解できるよう、準備をしておくこと。
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