シラバス情報

授業コード
220015
オムニバス
科目名
鋼構造特論
科目名(英語)
Advanced Steel Structures
配当学年
1年
単位数
2単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
水曜2限
対象学科
博前_建築
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
那須 秀行
教室
実務家教員担当授業
担当教員の那須は、住宅メーカーの研究開発部門およびスウェーデンの研究所にて豊富な実務経験があり、内容の濃い先端的な授業内容である。世界の先端的な鋼構造の実例を学ぶ他、研究開発部門での実務にも使える実践的かつ自らの考えにより鋼構造に関する探究ができる基礎となる。
授業の目的と進め方
高品質な工業化住宅を中心に先端的な技術の例を学ぶと共に、実際の現場や展示場等からの学びも行い、その上で自ら架構や接合部のアイデアを出し、それらの実現性と構造的な効果についても検証を行うことを通して鋼構造設計を実践的に学ぶ。
達成目標1
初期(1~3回):鋼構造に用いられる部材の基本的な種類と物理的な材料特性を理解し、鋼構造の基本を活用できる。【20%】
達成目標2
前半(4~6回):引張力・圧縮力・曲げ応力に対する演習を行うことで、鋼材を用いた部材の基本的な設計ができる。【20%】
達成目標3
中盤(7~9回):接合部について掘り下げる。接合部におけるポイントを理解することで接合部設計に活かせる。【20%】
達成目標4
後半(10~12回):外部応力により引き起こされる付加応力を理解し、柱や梁や斜材等に入力される内部応力を導き出すと共に部材の変形を計算できる。また、その荷重変形関係を元に解析モデルへと展開できる基本を身につける。【20%】
達成目標5
終盤(13~14回):鋼構造における各種構造計算の手法概要を理解すると共に、柱梁の部材を算定できるよう演習を行う。併せて、接合部設計における演習を行い安全性の検定をできる。【20%】
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習
自ら考案した構造や接合部などに関し、それを検証するための実験計画や治具設計を行う。

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
鋼構造の構成、鋼材の性質
鋼構造の特徴、鋼材の特徴について各自調査し、発表できるよう資料として準備しておく。
第2回
新しい構造用鋼材
特殊な鋼材、新しく開発された鋼材等についてのトピックスを調べ、発表資料を準備しておく。
第3回
鋼製品、ボルト類
鋼材の基本的な種類や物理的な性質、用いられる規格や種類、用途について各自調査しておく。
第4回
引張力を受ける鋼部材、演習
代表的な鋼材の引張強度、許容応力度、歪み硬化についてその値を各自復習しておく。
第5回
圧縮力を受ける鋼部材、演習
圧縮応力に対し、軸力と材料断面の関係、垂直応力度の関係を復習しておく。
第6回
曲げ応力と座屈、演習
部材にかかる曲げと圧縮に対する垂直応力度の関係を復習しておく。オイラーの座屈方程式を復習しておく。
第7回
接合要素と接合形式
材料が並列に複合されると、応力と変形は剛性比により、直列接合では足し合わせになることを復習しておく。
第8回
ボルト接合、溶接接合
ボルト接合と溶接接合、それぞれの特徴と注意点を確認しておくこと。各種類における接合強度を調べておくこと。
第9回
鋼構造の構造計画、荷重と外力
主に地震と風圧力に対する構造設計時の設定荷重(地震力・風圧力・固定荷重・積載荷重)の条件を理解しておく。
第10回
応力・変形の計算、解析モデル化
部材または接合部の荷重変形関係からバイリニアやマルチリニアの解析モデルへの変換手法を予習しておく。
第11回
耐震設計、保有耐力設計、限界耐力設計
鋼構造における各種構造計算の手法について、そのフィロソフィーや手法の概要を理解しておく。
第12回
梁部材算定、演習
単純梁のたわみを算定できるよう復習しておく。公式の利用でも構わない。鋼構造基準の断面表を利用しても良い。
第13回
柱部材算定、演習
柱の座屈に関する検定方法を予習しておく。断面半径等の数値は鋼構造基準の断面表を利用しても良い。
第14回
接合部の設計、演習
新たな接合方式を提案すべく、あらかじめ接合形式を企画しておく。その破壊モードについても予測しておく。


課題等に対するフィードバック
次回の授業内に解説やフィードバックをする。 
評価方法と基準
課題提出60%、演習40%、各回における質疑応答、課題のレベル等を勘案して評価する。
上記の総合点が60点以上を合格とするが、授業への取組姿勢も加味する。
テキスト
嶋津孝之編『鋼構造 第2版』森北出版 (2008)【ISBN-13: 978-4627551923】
参考図書
最新の業界誌、技術評価書等
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
鋼材の材料品質は安定しており他の構造形式と比較すればシンプルな接合形状としやすい特性を背景とし構造解析技術が進んでいる分野でもある。鋼構造に用いられる部材の基本的な種類と物理特性を理解し、自ら架構や接合部のアイデアを出し、その構造安全性と実現性についての検証を通して鋼構造設計を実践的に学ぶ。将来、鋼構造およびその複合構造の耐震技術に関する研究・開発や実施・普及に資する専門的な能力を身につける。
履修登録前の準備
構造力学系の基礎知識を習得していること。例えば架構のモーメント図が書ける、H鋼を用いた梁のたわみ量を算出できる、オイラーの座屈方程式等が理解できていること。工業化住宅を中心とした鉄骨構造の構法実例を各自調査しておくこと。