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教員名 : 生駒 哲一
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授業コード
220304
オムニバス
科目名
最適フィルタ状態推定特論
科目名(英語)
Advanced Optimal Filtering and State Estimation
配当学年
1年
単位数
2単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
月曜3限
対象学科
博前_電子
コース
科目区分
大学院科目
必選の別
選択科目
担当者
生駒 哲一
教室
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
動的システムの隠れ状態を、時系列の観測情報から逐次推定する最適フィルタには、状態空間モデルが線形ガウスの場合はカルマンフィルタによる解析的な状態推定がある。非線形非ガウスの場合には、解析的なアルゴリズムは存在せず、パーティクルフィルタなどの近似的方法が用いられる。本科目では、これらの理論、方法論を学び、プログラミング実装の演習を通して応用力を身に付ける。また発展的な話題として、複数対象の動的状態を同時推定する方法を理解する。
達成目標1
最適フィルタ問題の背景と歴史を知り、概略を説明できる。【20%】
達成目標2
カルマンフィルタのアルゴリズムを知り、そのプログラム実装を活用できる。【20%】
達成目標3
パーティクルフィルタのアルゴリズムを知り、そのプログラム実装を活用できる。【20%】
達成目標4
状態空間モデルと状態推定を応用した複数の事例を説明できる。【20%】
達成目標5
複数対象の動的状態を同時推定する方法を理解し、概略を説明できる。【20%】
達成目標6
達成目標7
アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習
授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
導入ガイダンス
本科目で学ぶ事柄の全体像を把握し、ノートなどに分りやすく整理して記述しておく。(1時間)
第2回
最適フィルタ問題と状態推定の概説
最適フィルタ問題の概要について、授業で学ぶ事柄に加えて、書籍などを調べて知識を補い、ノートなどに整理して記述する。(1時間)
第3回
確率統計の基礎
確率論および統計学の知識として、確率空間、確率の公理、確率変数、確率分布、条件付き確率、確率の独立性、統計モデル、統計的推測などについて調べ、知識を整理しておく。(3時間)
第4回
信号処理の基礎
信号処理でよく使われる周波数フィルタとして、有限インパルス応答フィルタ(FIRフィルタ)および無限インパルス応答フィルタ(IIR)フィルタについて調べ、知識を整理しておく。(2時間)
第5回
ウィナーフィルタ
ウィナーフィルタの問題設定とその解の導出について、数式をノートに整理し、まとめておく。(2時間)
第6回
カルマンフィルタ
線形ガウス状態空間モデルと、カルマンフィルタのアルゴリズムとを、分りやすい形でノートなどに記述し、後で必要なときにすぐ閲覧できるよう整えておく。(2時間)
第7回
状態空間モデルと状態推定問題の定式化
状態空間モデルと状態推定の定式化について、授業で学ぶ事柄に加えて、書籍や論文などの文献を調べて知識を補い、ノートなどに整理して記述する。(2時間)
第8回
ベイズ推定によるフィルタ手続きの導出
ベイズ推定に関する知識として、ベイズの定理の導出とベイス推測、および、状態空間モデルの形式的解の導出について、知識を整理しノートにまとめる。(2時間)
第9回
パーティクルフィルタと応用事例
パーティクルフィルタのアルゴリズムとその妥当性について、知識を整理しノートにまとめる。パーティクルフィルタの多数の応用事例について、関連する文献を調べ、入手しておく。(3時間)
第10回
演習とプログラミング実装(1)〜カルマンフィルタ
線形ガウス状態空間モデルとカルマンフィルタについて、与えられたサンプルコードを実行し、結果を理解する。最も簡単なトレンドモデルについて、確率項を非ガウス分布にして非ガウスモデルへと変更し、適切な結果を得る。これらの結果を整理し、様々な課題へと発展させられるよう、知識を整理しておく。(2時間)
第11回
演習とプログラミング実装(2)〜パーティクルフィルタ
非線形非ガウス状態空間モデルとパーティクルフィルタについて、与えられたサンプルコードを実行し、結果を理解する。最も簡単で線形ガウスであるトレンドモデルを、より複雑なモデルへと変更し、適切な結果を得る。これらの結果を整理し、様々な課題へと発展させられるよう、知識を整理しておく。(2時間)
第12回
演習とプログラミング実装(3)〜応用課題:動画像追跡
応用課題として、動画像追跡を行うサンプルコードを動作させ、動画像ファイルあるいはカメラで取得したリアルタイム動画像に対して、指定された対象物を追跡できるようになる。発展的な課題として、手の挙動や顔の姿勢の推定を行えるよう、知識を整理しておく。(2時間)
第13回
複数対象の同時推定(1)〜ランダム有限集合の状態空間モデル
複数対象の動的状態を同時推定するためのランダム有限集合に基づく状態空間モデルの定式化を、関連する集合積分などの概念と共に理解する。(3時間)
第14回
複数対象の同時推定(2)〜PHDフィルタ、複数ベルヌーイフィルタほか
ランダム有限集合の状態空間モデルにおいて状態推定を行う方法として、ポアソン分布に基づくPHDフィルタや複数ベルヌーイ分布に基づく各種フィルタと、それらの実装について理解する。(3時間)
課題等に対するフィードバック
レポート課題の提出物について、必要に応じ解説を行う。
プログラミング実装の演習について、動作確認した結果等をフィードバックする。 評価方法と基準
・講義の各回にて課す、レポート課題(70%)。
・演習とプログラミング実装(30%)。 上記の割合で評価点(100点満点)を算出し、60点以上の場合に単位を与える。 テキスト
特に指定しない。必要に応じて、随時、配布資料を使う。
参考図書
参考書のある場合は、適宜通知する。
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
時間的に変化する対象の多くは動的システムであり、その隠れ状態を観測可能なものから知る必要を生じる場面は、電子情報メディアを含めた多くの分野(自然科学、生物・医学、機械・建築・土木、経済学・マーケティングなど)においてよくある。従って、本科目で学ぶ内容は、幅広い分野において活用できるものである。
履修登録前の準備
・確率論、統計学、数値計算法、システム工学、最適化法などの基礎知識を身に付けておく。
・プログラミング実習に必要な環境を、ノートパソコン等の授業に持ち込める機材にて整えておく。 ・英語の論文を読解する為に必要な、英語力、論文の読解力を養っておく。 |