シラバス情報

授業コード
510345
オムニバス
科目名
ヒューマノイドロボット研究Ⅲ
科目名(英語)
Humanoid Robot Research III
配当学年
2年
単位数
1単位
年度学期
2025年度春学期
曜日時限
集中講義
対象学科
先_ロボ
コース
科目区分
カレッジマイスタープログラム
必選の別
選択科目
担当者
樋口 勝、中里 裕一
教室
実務家教員担当授業
授業の目的と進め方
本科目は「ヒューマノイドロボット研究Ⅰ・Ⅱ」および「ヒューマノイドロボット研究Ⅴ・Ⅵ」を繋ぐ、ロボット研究・開発のための実践的な知識と技術の修得を目的とする。特にアクチュエータ・センサー・機械要素等のロボットを構成する 要素に関する知識、ロボットの動力学特性とそれに基づく運動計画および制御プログラミング法、ロボットの一連の設計・製作・制御ができるようになることを目的とする。
達成目標1
ロボットの機構の設計に必要な①アクチュエータ、②減速機、③動力伝達要素(歯車・ベルト・ワイヤ等)、③機械要素(軸受・ねじ・キー・軸等)、④材料、⑤加工方法、等の静力学的・動力学的特性を理解し、目的・仕様を満足する、種類だけなく、型式・寸法を適切に選択できるようになる(満足設計が行えるようになる)。【25%】
達成目標2
ロボットの静力学的・動力学的特性、および安定性を理解し、目的とする作業を行うための運動計画を作成できる。【25%】
達成目標3
ロボットの静力学的・動力学的特性、および安定性だけでなく、制御理論を理解し、路面の微小凹凸やロボットのがた・弾性変形、他のロボットや周囲の環境との接触、路面と足部との滑り等の外乱要因に対して、安定性を維持するための制御系を構築できる。【25%】
達成目標4
必要な情報が過不足無く簡潔に記載された報告書を作成できるようになる。【25%】
達成目標5
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
チーム編成と計画の作成
実習を行う。

参加するロボットコンテスト、製作するロボットのコンセプト等に基づき、チームを作成する。
チーム毎に目標・計画・役割分担を決定する。
予習
プロジェクトマネージメントの再確認
自分に不足している知識の把握と整理
(1時間)

復習
プロジェクトファイル(目標・計画・役割分担)の作成
(1時間)
第2回
ロボット構造の理解1(駆動系の性能評価実験)
実習を行う。

ロボットの関節を駆動するアクチュエータ、減速機、動力伝達機構等からなる駆動系のカタログスペックだけでは把握できない特性を実験により把握する。
これらの実験と同時に、コンテストに出場するロボットの概念設計を進める。
予習
カタログによる駆動系の性能の把握と整理
(1時間)

復習
実験により把握した駆動系の各構成要素の性能の整理
ロボットの概念設計についての話し合いの結果の整理
自分の役割(概念設計)の実行
(1時間)
第3回
ロボット構造の理解2(機械要素の評価実験)
実習を行う。

軸受やねじ等のロボットに使用される機械要素の特性を実験により把握し、より多くの経験を得ると同時に、経験に頼らず機械要素をその性能から選定する方法について修得する。
これらの実験と同時に、コンテストに出場するロボットの概念設計を進める。
予習
機械要素の種類・機能・特徴・性能の調査
(1時間)

復習
実験結果の整理とデータファイルの作成
ロボットの概念設計についての話し合いの結果の整理
自分の役割(概念設計)の実行
(1時間)
第4回
ロボット構造の理解3(材料の強度・剛性評価実験)
実習を行う。

ロボットの軽量化には、材料の選定およびその形状が非常に重要であるが、市販ロボットを始めとする過去のロボットのまねをしてこれらが設計されることが多い。
そこで、材料の種類・特性、および構造の種類・特性等を実験により把握する。
これらの実験と同時に、コンテストに出場するロボットの概念設計を進める。
予習
材料の種類・特性の調査
構造の種類・特性の調査
(1時間)

復習
実験結果の整理とデータファイルの作成
ロボットの概念設計についての話し合いの結果の整理.
自分の役割(概念設計)の実行
(1時間)
第5回
ロボット構造の理解4(機構の動作原理実験)
実習を行う。

機構の設計において、同じ運動を実現する異なる機構の候補が沢山ある。
適切な機構の選定を行うことができる知識を得る為に、機構の種類・動作原理・特徴を実験により把握する。
予習
機構の種類・動作原理・特徴の調査
(1時間)

復習
実験結果の整理とデータファイルの作成
プレゼンテーション資料の作成
(1時間)
第6回
概念設計発表会
実習を行う。

出場するロボットコンテスト、目標、および製作するロボットの概念設計の発表を行う。
予習
プレゼンテーションの発表練習
(1時間)

復習
発表会の反省
質疑応答のまとめ
発表を受けての今後の計画の修正
(1時間)
第7回
ロボット制御の理解1(静的バランス実験)
実習を行う。

歩行ロボットの安定性を理解するために、まず、静的な安定性の評価に用いる、支持多角形、C.O.G、安定余裕について実験により把握する。
これらの実験と同時に、コンテストに出場するロボットの詳細設計を進める。
予習
歩行ロボットとの静的安定性、支持多角形、C.O.G.、 安定余裕についての調査
(1時間)

復習
実験結果の整理とデータファイルの作成
ロボットの詳細設計についての話し合いの結果の整理
自分の役割(詳細設計)の実行
(1時間)
第8回
ロボット制御の理解2(慣性力・ZMPに関する実験)
実習を行う。

実験により慣性力を感覚的に理解すると同時に、動的安定性の評価に用いるZ.M.P(Zero Moment Point)の意味と、その利用方法を実験により把握する。
これらの実験と同時に、コンテストに出場するロボットの詳細設計を進める。
予習
歩行ロボットとの静的安定性、支持多角形、C.O.G.、 安定余裕についての調査
(1時間)

復習
実験結果の整理とデータファイルの作成
ロボットの詳細設計についての話し合いの結果の整理
自分の役割(詳細設計)の実行
詳細設計発表会のプレゼン資料の作成
(1時間)
第9回
詳細設計
実習を行う。

出場するロボットコンテスト、目標、および製作するロボットの概念設計および詳細設計の発表を行う。
予習
プレゼンテーションの発表練習
(1時間)

復習
発表会の反省
質疑応答のまとめ
発表を受けての今後の計画の修正
(1時間)
第10回
ロボット製作1(部品の製作)
実習を行う。

役割分担に従い各自設計したロボットの部品、および制御プログラムを構成するサブプログラム(サブルーチン・関数・ライブラリー)を作成する。
また、進捗状況の報告を行い、問題が発生した場合には、その原因を究明し対策をたて計画の修正を行う。
予習
進捗状況報告書の作成
(1時間)

復習
進捗状況のまとめ
計画書の修正(ガントチャートおよび計画表の修正)
自分の役割(部品製作・プログラム作成)の実行
(1時間)
第11回
ロボット製作2(部品の完成)
実習を行う。

役割分担に従いロボットの部品を完成させる。
製作した部品は仮組を行い問題点の修正を行う。
制御プログラムはサブプログラム単位で動作確認を行い、バグがある場合には修正する。
また、進捗状況の報告を行い、問題が発生した場合には、その原因を究明し対策をたて計画の修正を行う。
予習
進捗状況報告書の作成
(1時間)

復習
進捗状況のまとめ
計画書の修正(ガントチャートおよび計画表の修正)
自分の役割(部品の完成・サブプログラムの完成)の実行
(1時間)
第12回
ロボット製作3(組立・動作実験)
実習を行う。

完成した部品を組み立て、問題点を修正しロボット本体(ハードウェア)を完成させる。
制御プログラムも同様にサブプログラムを組み合わせ、制御プログラムを完成させる。
完成したロボット本体に制御プログラム実装し、動作確認を行い、問題点を把握する。
予習
進捗状況報告書の作成
(1時間)

復習
進捗状況のまとめ
ロボットの完成
(1時間)
第13回
ロボット製作4(調整・模擬競技)
実習を行う。

把握した問題点を解決し、模擬競技を行う。
模擬競技で問題点を把握し、その問題を解決する。
予習
バッテリーの充電
整備マニュアルの作成
トラブル対応表の作成等の競技会に向けた準備
戦略の作成
競技会での役割分担の作成
操作の練習
(1時間)

復習
問題点の解決と、競技会での戦略の再確認
競技会に向けた練習
(1時間)
第14回
ロボット競技会参加・評価
実習を行う。

参加したロボット競技会の報告を行う。
成功点・問題点を共有し、次回のロボット競技会に向け対策をたてる。
予習
ロボット競技会への参加
結果報告書の作成
プレゼンテーション資料の作成
(1時間)

復習
一連の作業および得られた知識をまとめたファイルの作成
(1時間)


課題等に対するフィードバック
全体報告会での発表については、その場で問題点を指摘すると同時に、改良案を複数提案し学生にとって最良の方法を考えさせる。また、提出された課題については、個々に添削した後に学生に返却する。また、共通する問題点については、次回の全体報告会の時に周知し、改良方法を伝達する。
評価方法と基準
一連の作業をまとめたファイル、および毎回のプレゼンテーションを総合的に判断する。
提出ファイルおよび毎週のプレゼンテーションの合計点が60点以上で合格(C評価)となる。 
テキスト
文献調査能力も身に付けることを目的としているので、特定のテキストは指定しない。
参考図書
文献調査能力も身に付けることを目的としているので、特定の参考図書は指定しない。
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
「ヒューマノイドロボット研究V」でオリジナルロボットを開発するために、「ヒューマノイドロボット研究I・II」による基礎知識のうえに、さらに実践的知識・技術を身に付けるための科目である。
「ヒューマノイドロボット研究V・VI」の履修希望者は本科目を履修することを強く勧める。
また、本科目では専門科目で修得した知識を実践すると同時に、目的をもった授業履修を促し、工学技術への動機づけや自発性の喚起をはかる。
履修登録前の準備
「ヒューマノイドロボット研究I・II」、「ロボット工学演習」、「物理I」の履修および復習。