シラバス情報

授業コード
520337
オムニバス
科目名
木質構造
科目名(英語)
Timber Structures
配当学年
2年
単位数
2単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
月曜4限
対象学科
建_建築_Aコース
コース
科目区分
専門科目
必選の別
選択科目
担当者
那須 秀行
教室
5-203
実務家教員担当授業
担当教員の那須は、住宅メーカーの研究開発部門およびスウェーデンの研究所にて豊富な実務経験があり、内容の濃い先端的な授業内容である。世界の先端的な木質構造の実例を学ぶ他、実務で使える許容応力度の誘導、柱の座屈検定、梁のたわみ検定、壁量計算が実務レベルでできるようになる。
授業の目的と進め方
環境負荷の少ない構造として益々期待される木造であるが、専門科目の標準構法として木質構造の基本を修得する。木材の構造特性や木質構造の考え方、知識の基本・応用そして実務をバランスよく修得することで、卒業後に多くの進路で活用できる。
達成目標1
初期(1〜3回):最近、木造建築が世界的に期待されている状況を理解することで、木質構造を学ぶ意欲が向上する。歴史的な背景や種類と違いを理解し、構造安全性をどう確保するか、基本的な部分を修得できる。【15%】
達成目標2
前半(4〜5回):木質構造を性格付ける木材そのものの構造的な特性を理解し、それを実務で活かせる。【15%】
達成目標3
中盤(6〜8回):構造計算の前段階として材料強度と許容応力度を導き出せる。新木質建材の特徴を理解できる。【20%】
達成目標4
後半(9〜10回):柱部材や梁部材の断面設計ができる。木造の軸組設計ができる。【25%】
達成目標5
終盤(11〜14回):壁量計算のロジックとやりかたを理解し、演習も行うことで実務設計にそのまま役立てることができる。【25%】
達成目標6
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
木質構造の国内外の実例 - 木質構造の可能性(課題あり) 
「木質構造への期待」についてレポートを求める。最近の木質構造に関する事例を各自調査しておく。
第2回
木質構造の種類と特徴 - 木質構造の歴史、地震被害例
在来軸組構法について、古いタイプと最近のタイプの構造的な違いについて各自調べておく。
第3回
木質構造の分類 - 在来軸組構法、枠組壁構法、他構法
在来軸組構法と枠組壁構法(ツーバイフォー工法)の構造的な違いを各自調べておく。
第4回
木材の基本特性 - 直交異方性、含水率、収縮膨潤
木質構造には木材の基本的な特性が反映される。木材の特徴的な物理特性を各自調べておく。
第5回
木材の基本特性 - 比重、方向別の強度、クリープ等
第4回の木材の基本特性について復習と予習をする。
(テキスト「木質構造」の31頁〜39頁を参照)
第6回
木質材料 - 製材、集成材等の等級区分
在来軸組構法および枠組壁構法用の木材には等級区分がある。どのような種類があるか調べておく。
第7回
木質材料 - 基準材料強度・設計用許容応力度の誘導(演習あり)
木造に限らず構造計算では材料強度が重要である。「基準材料強度」「設計用許容応力度」の意味を理解しておく。
第8回
木質材料 - 集成材等の木質材料の特徴、新木質材料(演習あり) 
エンジニアリングウッド、木質構造材料にはどのような種類と特徴があるか、集成材やパネル等を各自調べておく。
第9回
部材の設計 - 柱座屈に対する断面設計(演習あり)
オイラーの座屈方程式で「座屈長さ」の意味を理解しておく。断面二次モーメントを計算できるようにしておく。
第10回
部材の設計 - 梁曲げに対する断面設計(演習あり)
分布荷重がかかる単純梁のスパン中央部のモーメントとたわみを算出(公式でも可)できるよう準備しておく。
第11回
耐力壁の構造設計方針、耐力壁の種類と壁倍率
耐力壁にはどのような種類があるのか調べておく。「壁倍率」の意味を調べておく。
第12回
線や面で抵抗する耐力壁、必要な接合金物とその仕様
耐力壁の働きについて理解しておく。接合金物が必要な理由を考察しておく。
第13回
壁量計算 - 壁率と必要壁量、壁配置の検討
壁量計算のやりかたについて予習をしておく。「必要壁量」と「設計壁長(有効壁長)」の意味を理解しておく。
第14回
壁量計算 - 壁量計算(演習あり)、4分割法(演習あり)
壁量計算の演習を実施する。前回の壁量計算のやりかたを復習しておく。


課題等に対するフィードバック
次回の授業始まりに課題の解説をする場合がある。
また、当該授業のTeams掲示を利用し全体の理解度や次回の授業内容等を随時アナウンスする。 
評価方法と基準
授業内で行われる演習およびレポート(30%)+ 期末試験(70%)
上記の総合点が60点以上を合格とするが、授業への取組姿勢も加味する。
テキスト
杉山英男編『建築の基礎1 木質構造 第4版』共立出版 (2010) 【ISBN:978-4-320-07701-0】
参考図書
菊池重昭編『建築構造学シリーズ 建築木質構造 第1版』オーム社 (2010) 【ISBN:4-274-13240-4】
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
最近、環境負荷の少ない構造として益々期待される木質構造であるが、元々建築として最も身近な戸建住宅において全国平均で約8割が木造である。しかしながら、日本の大学で木質構造を授業或いはゼミで開講しているところは少なく、木質構造を体系的に基本から応用、実務演習まで学べる機会は多くない。建築における標準構法として木質構造を学ぶことは実学として大きなアドバンテージがあり、本学ではこれを修得できる。
履修登録前の準備
力学の基本を理解しておく。例えば、単純梁のモーメント図が書ける、断面二次モーメントを理解している、たわみ量を算出できる(いずれも公式を用いてでも良い)。オイラーの座屈方程式が理解できる。予習を基本として事前に準備しておくこと。