シラバス情報

授業コード
521135
オムニバス
科目名
会社の仕組みと経営の仕組み
科目名(英語)
配当学年
2年
単位数
2単位
年度学期
2025年度秋学期
曜日時限
金曜1限
対象学科
基_機械,基_電電,基_電情,基_応用,基_環生,先_ロボ,先_情報,先_データ,建_建築_Aコース,建_建築_Lコース
コース
科目区分
共通教育科目
必選の別
選択科目
担当者
筒井 研多
教室
3-323
実務家教員担当授業
授業を担当する筒井は、ITコンサルタントとして14年間の起業経験、会社運営経験を持っており、自社だけではなくクライアント企業の改革に対する取り組みを行ってきた。これらの経験を踏まえた豊富な事例を用い、「会社」の実情に即した知識や事例を提供する。
授業の目的と進め方
多くの学生が卒業後に関係する「会社(企業)」とは一体何だろうか?本科目では、「会社(企業)とはそもそも何か」からスタートし、その目的・ルール・仕組みを学習する。また、会社(企業)を成長・発展させるために必要な、「他社との競争戦略」「ビジネスモデル」「社員のやる気と人材の活用」「マーケティング」「イノベーション」についても学習する。
理系大学としての専門性(技術力)に加え、それを自分に与えられた立場で活かすための視点(経営力・企業家精神)を獲得するための最初の一歩を踏み出すことが本講義の目的である。
達成目標1
会社とは何か?という、会社の基本的な仕組みについて理解できる。(10%)
達成目標2
会社が「人材」をどのように活用していくか、基本的な考え方を理解し、人材の活用について学習した専門用語を用いて会話し、自分の考えを他者に伝えることができる。(20%)
達成目標3
様々な競争戦略についての専門用語を理解し、会社が競争・成長するアイディアについて専門用語を用いながら自分の考えを他者に伝えることができるようになる。(20%)
達成目標4
マーケティングに関する専門用語を理解し、会社が自社の製品を買ってもらうためのアイディアについて専門用語を用いながら自分の考えを他者に伝えることができるようになる。(20%)
達成目標5
「イノベーション」「ビジネスモデル」の基本的な概念と類型を理解し、専門用語を用いて会社が「変革する」方法について自分の考えを他者に伝えることができるようになる。(20%)
達成目標6
達成目標1〜6の知識を組み合わせ、会社の戦略について大局的に説明することができるようになる。(10%)
達成目標7

アクティブラーニング
ディスカッション
ディベート
グループワーク
プレゼンテーション
実習
フィールドワーク
その他課題解決型学習

授業計画
授業時間外課題(予習および復習を含む)
第1回
【ガイダンス】
授業の目的・進め方、ルール等を説明し、同時に、本授業がエンジニアの将来にどのように役立つかを説明する。
予習:特になし
復習:「会社はだれのものか?」の問いについての答えを検討する、「株主のもの」「社長のもの」「社員のもの」「顧客のもの」「社会のもの」を順番付け、自分が何故この順番としたかの理由を整理する。この宿題は次回授業の準備も兼ねている。(1時間)
第2回
【会社の仕組み① 会社とは?・会社は誰のもの?】
「会社」が成立する根拠、目的、成り立ち、様々な会社の種類、類似する組織等を理解し、「会社」という仕組みを理解する。
予習:「会社はだれのものか?」の問いについての答えを検討する、「株主のもの」「社長のもの」「社員のもの」「顧客のもの」「社会のもの」を順番付け、自分が何故この順番としたかの理由を整理する。この宿題は次回授業の準備も兼ねている(2時間)
復習:自分の将来像や理想のキャリアについて考察し、なぜそのような生き方が良いと思うのかを整理する(1時間)
第3回
【会社の仕組み② 会社とビジネスの基本】
会社・ビジネスに関する一般的に「知っておいた方が良い」言葉を説明する。さらに、株式会社における「所有と経営の分離」と、株主の権利について説明する。
「任天堂Switch」「日本工業大学」いずれかのSWOT分析を行う。(次回予習も兼ね3時間)
第4回
【会社の仕組み③ SWOT分析と様々な会社の在り方】
「任天堂」「日本工業大学」を例に、会社の分析の基本であり就職活動などで取り上げられることも多い「SWOT分析」を実際に行ってみる。また、同じゲーム事業であっても任天堂とSONYの事業形態の違いなどから、様々な会社の特徴や活動分野=セグメンテーションについて理解する。
第1回〜第4回までの授業内容を復習し、授業で学んだことから選択型の「クイズ」を作成する。作成したクイズのなかで優れたものは、第6回の授業内グループワークとして行う「クイズ大会」の出題に活用する(3時間)
第5回
【ビジネスプラン】
日本工業大学の「ビジネスプランコンテスト」を観覧し、学生が考えるビジネスアイディアに触れる。
ビジネスプランコンテストで発表された8件のビジネスプランについて、自分なりの感想を記述する。また、そのなかから最も感銘を受けた発表を選択し、投票する(2時間)
第6回
【会社の仕組み④ 会社の一生〜誕生】
会社を立ち上げるメリットとデメリット、具体的な手続き等について学ぶ。
自分にとって「身近な会社・憧れや興味のある会社」を一社選ぶ。その企業のウェブサイトに掲示されている「企業理念」を確認し、その内容を記入する。この作業は次回授業のグループワークの発表に関する予習も兼ねている。(3時間)
第7回
【会社の仕組み⑤ 会社の一生 成長〜中間ゴール〜終焉】
会社の成長シナリオ、中間ゴールとしての上場や非公開優良企業の違い、また会社の清算(解散)、倒産、M&A等、会社の終焉について理解する。
「Google」「Amazon」「楽天」「サイバーエージェント」「ローソン」「トヨタ」「サッポロビール」の各企業の「行動規範」をそれぞれのウェブサイトから確認する。その上で 「的確で良い行動規範だ」・「この規範で働く社員がいる会社は成長しそうだ」・「印象的で心に残る行動規範だ」・「この会社で働きたい」
等、何らかのポジティブな気持ちを感じた会社を3つ選択し、そう感じた理由を整理する。(3時間)
第8回
【経営の仕組み① 経営戦略1】
会社を成長する方法には「正解」がなく、時には正反対の方法を主張する経営理論が存在する。大切なことは色々な経営理論を理解し、頭の引き出しに入れたうえで、適切なタイミングで活用する事である。この回では経済学者・コンサルタントであるポーターの理論を中心に、経営戦略の基礎について学ぶ。
第5回〜第8回までの授業内容を復習し、授業で学んだことから選択型の「クイズ」を作成する。作成したクイズのなかで優れたものは、第9回の授業内グループワークとして行う「クイズ大会」の出題に活用する。(3時間)  
第9回
【経営の仕組み② 経営戦略2】
前回に引き続き、代表的な経営戦略理論について学ぶ。プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)、バーニーが提唱するリソースベースドンビュー、アンゾフが提唱する市場マトリックスや多角化理論について学習し、より多くの選択肢を使いこなせるようにする。
「マクドナルド」「DeNA」「サイバーエージェント」が有する「模倣困難性」について、各企業のウェブサイトを分析し、パワーポイントに整理する。(3時間) 
第10回
【経営の仕組み③ 経営戦略のまとめとイノベーション】
前回、前々回で学習した経営理論を振り返り、どのような産業やどのような成長段階で活用すると有効であるかを学習する。更に、今後のエンジニアにとっても重要な「変化を起こす=イノベーション」について学習する。
性格診断の一種である「16 Personalities」を実際に行い、自分のタイプを確認する。その上で、「16 Personalities」に関する肯定的・否定的な記事の両方を検索し、可能性と危険性について理解する。(3時間)
第11回
【経営の仕組み④ 人やチームを動かす・モチベーションとリーダーシップ】
いかに良いイノベーションのアイディアや成長戦略を考えても、周囲を説得・協力を得ることが出来なければ「絵に描いた餅」となってしまう。この回では、組織論の基礎として、様々な組織のモデルについて学習し、さらに人やチームを動かすためのリーダーシップ論・社員のパフォーマンスを向上させるためのモチベーション論についても学習する。
第9回〜第11回までの授業内容を復習し、授業で学んだことから選択型の「クイズ」を作成する。作成したクイズのなかで優れたものは、第13回の授業内グループワークとして行う「クイズ大会」の出題に活用する。(3時間) 
第12回
【アントレプレナーシップ】
新しいアイディアやビジネスを通して、社会や自分の周囲を「変えたい」と思い実行するためには、「アントレプレナーシップ(企業家精神)」が重要となる。その一方で「どうやって新しいビジネスアイディアを見つけたらよいかよくわからない」という声も多い。この回では、「世の中に求められている事」「自分の好きな事・出来る事」「自分が大切にしたい想い」を組み合わせてビジネスアイディアを見つけ出す方法について学ぶ。同時に同世代の創業ストーリーにより、起業やビジネスをより身近なものにする。
これまでの講義と、第12回の「アントレプレナーシップ」の講義を受けたうえで、自分の心の中に何らかの変化が起きたか、「変化を起こしたいもの」や「やってみたい・挑戦してみたい事」が見つかったかを自問自答する。(3時間)
第13回
【マーケティング】
新しい製品やビジネスアイディアを実現しても、これが「売れなければ」ビジネスとして成立しなくなる。この回では、顧客が商品を認知してから購入するまでの流れを理解し、「どのように買ってもらうか」=マーケティング の基礎について学習する。また、エンジニアにとっても重要な概念である「プロダクトアウト」と「マーケットイン」について理解する。
期末試験の準備も兼ね、これまでの授業内容を自分なりに整理し、これまでの授業の内容を全体整理しA4の紙に整理する作業に着手する。(3時間)
第14回
【全体のまとめ・振り返り】
授業全体の振り返りを行う
これまでの授業の内容を全体整理しA4の紙にまとめる(2時間)
授業評価アンケートに回答する(1時間)


課題等に対するフィードバック
毎回の課題はWORDファイル・パワーポイントファイルでの提出、またMicrosoft Form等でのアンケートなど、デジタル形式で提出する。その内容を分析し、参考となる意見については次回授業の中でフィードバックを行う。
評価方法と基準
レポートなどの取り組みが35点、授業参加姿勢を15点、期末テストを50点として合計100点で評価し60点以上を合格とする。
テキスト
授業内にてプリントを都度配布する。
参考図書
授業内で都度紹介する。
科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)
学生の多くが今後のキャリアにおいて向き合う「会社(企業)」が、どのような目的や仕組みで運営されているかを理解することが目的となっている。就職活動し内定した「その先」を見通すための科目となっている。「会社」を含む、社会全体を理解する過程として、「創業の基礎」「現代社会の基礎知識Ⅰ・Ⅱ」「現代社会の諸問題」「起業とビジネスプラン」等との科目と関係が深い。
但し、本授業は単体で完結できる仕組みなので、これらの関係する科目を履修せずとも本授業の履修に問題はない。
履修登録前の準備
この授業は「自分なりの考え方を持ち、これを伝える」姿勢を重視している。受け身の体勢ではなく積極的な授業への参加(課題への取り組み・発表等)が授業の理解にも、成績評価にも重要となってくる。また、グループワークやディスカッションの機会も多くあるため、学生や教員とのコミュニケーションが必要となることに留意しておくこと。
また、日常から経済ニュースや工学技術に関するニュースに目を通しておくことで授業への参加を行いやすく、また楽しくなるようにデザインしているので、挑戦を楽しむ姿勢で参加してほしい。